番組に次のようなお便りをいただきました。

 

小3になる息子、学校でも勉強が簡単すぎてすぐに理解できてしまうのでつまらなく、授業にきちんと参加ができないようです。今は少し落ち着きましたが、小1の時には、無断で教室を飛び出し、外で虫の観察をしていたことも。

 

全般に学習はできますが、特に算数はすごいものがありますが、「書く」ということが極端に苦手で、国語の漢字の書き取りや、文章を読み解いてまとめましょう、という問題は、自分一人ではできません。

 

勉強は得意である反面、精神的には年齢より幼いようなところもあり、自分の感情が抑えられない、片付けができない、など、生活面では、人一倍学校にお世話をおかけしています。

 

担任の先生から、心理の先生に相談していただいたところ、得意な面を伸ばせるといい、個別の授業を受けられるといい、と、支援級や通級をすすめられました。

 

「通級」とは通級指導教室のことで、普段は通常学級ですごしながら、週数回程度部分的に個別の特別な指導を受けるために通うクラスのこと。

「支援級」というのは特別支援学級のことで、一人一人にあった個別の教育を受けることを目的に10人未満の小さな規模で構成されるクラスのこと。

 

が、支援級が通っている学校にはなくて、別の学校に通う必要があるなどハードルも高い。そういった状況の中、せっかくの持っている能力をのばしてやれるような、最善の方法を担任の先生とともに悩んでおります。

 

どういう選択肢があるのか、才能を伸ばす、とはいかなくても、つぶさない方法があるのか、悩む日々であります。

 

ママ友に相談しようにも、「できすぎて困る」など、自慢にとられてしまいそうで、相談は到底できません。どうか、何か参考になるお話がお聞きできればと思います。よろしくお願いいたします。

 

一般的にはいわゆるIQ(知能指数)が70未満だと「知的障害」とされて支援の対象になります。ところがIQが130だと、支援の対象にはなりません。余裕があるなら問題ないという考え方に基づいています。

 

しかし、ものすごく大雑把な言い方になってしまいますが、IQ130の子どもは、IQ70の子どもと同じ次元の困難さを学校教育の中で感じているはずであることが、私も最近取材をしていてわかってきました。

 

6月14日に、文部科学省では、発達障害のある児童生徒らが通常学級で学んでいくための支援策を議論する文部科学省の有識者会議の初会合が開かれました。

 

報道によると「文科省は26年度にかけ小中学校の児童生徒13人に対し教員1人の配置を進めて自校通級に対応する計画だが、1校で13人に満たなければ他校通級となるケースが出てくる」とのこと。

 

海外だと「ギフテッド教育」というのがある。部分的に突き抜けた子の特性を踏まえて、そこを生かすための教育が行われています。日本ではギフテッド教育についての議論まだこれからという感じです。

 

海外ではそのほかホームスクールという概念があります。要するにおうちで学ぶことですが、一時間目から六時間目まで親が先生の代わりに授業をするわけではなくて、もっと自由度が高かったり、フリースクールや塾のような教育期間を部分的に利用したりします。「学校に行かないってことはホームスクールだよね」という認識がある国や地域では、「不登校」という概念自体がない場合も多いんですね。これも日本ではまだなじみがなくて、情報も少ないのですが、そういうご家庭を結ぶ家族会のようなものも組織され始めていますので、ネットで調べてみるといいと思います。ただし、ぜんぶ自前で教育を行うことになるので、お金も時間もかかるというのが大きなネックです。

 

ご相談への明確なお答えにはなっていないと思うのですが、できすぎる子は決して余裕があって楽なのではなく、本気でつらいんだということを社会として理解することと、ホームスクールやギフテッド教育などの教育の多様性を認めていくことが必要だと思います。ワンパッケージの学校教育で対応しようというのには無理があり、だからこそいま不登校の子どもたちが増えているのと思います。

 

ちょうど本日、6月15日から、「ホームスクール&ホームエデュケーション家族会」という団体が、不登校やホームスクールの現状把握に関するアンケート活動を始めました。8月には不登校に関する書籍を発行する予定で、この団体にも取材にご協力いただきました。このアンケート結果を政策提言につなげたい考えです。以下にアンケートフォームを共有しますので、関係しそうな方はぜひご回答をお願いします。

 

 

※2022年6月16日のFMラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容です。