小学校での遠足の最後には、校長先生が「遠足はここで終わりではありません。安全におうちに帰るまでが遠足です」と言っていましたよね。中学受験も同じです。

 中学受験は、合格発表で終わりではありません。実は、合格発表が終わってから、中学受験という決して楽ではなかった親子の大冒険物語のエピローグが始まります。

 生きていれば、どんなに頑張っても思い通りの結果が得られないことはたくさんあります。思い通りの結果が得られなければ、傷つくのは当然です。でも人生において、傷つくことは、失敗ではありませんよね。

 中学受験も同じです。不合格をもらえば傷つきます。めちゃめちゃ悔しいと思います。でも、不合格をもらうことは、中学受験の失敗を意味しません。

 望み通りの結果が得られなかったときには塞ぎ込んでしまいたくなるのもわかりますから、いまそのような状態にあるひとを、私は無理に励ましたりはしません。でも、なんとか踏ん張って、やってほしいことがあります。

 大冒険をやり抜いたわが子がいまどんな表情をしているか、何をするのかを、しっかり見ていてあげてください。いまこのときのわが子の姿を、いまいちどよーく観察して、目に焼き付けてください。

 そこに成長が感じられて、「100%思い通りの結果ではなかったけれど、中学受験をして良かったな」と思えるなら、その中学受験は大成功なんです。

 「いろいろあったけど、そのおかげで成長できた、いまの自分がある、やってよかった」と親子そろって思えるようなハッピーエンドを描ききるまでが、中学受験における親の大事な役割です。

 数週間で書き上がるエピローグもあれば、数カ月かかることもあるし、場合によっては数年かかることもあります。焦らずに、自分たちらしいエピローグを紡いでいってください。

 そのエピローグが、また新たな冒険のプロローグになります。

 人生においてはときどき、一応の「結果」が出ることがあります。でもその結果は、人生の一瞬の状態を写した1枚の写真にすぎません。そこにどんな解釈を付け加えるかは、常にそのあとの生き方が決めます。

 中学受験は、12歳にしてそんなことを学ぶ絶好の機会でもあるのです。