夏休みも残すところわずかとなりました。宿題が終わっていない少年少女もたくさんいることでしょう。現役のお父さんお母さんのなかには、いっしょに自由研究のネタを考えている最中という方もきっといらっしゃるでしょう。

 

みなさんは子どものころ、どんな自由研究をやりましたか? 

 

コロナ禍で夏休みの作文とかいわれても困っちゃいますよね。「家族でハワイに行って、火山を見ました」とか書いてもすぐに嘘だとわかっちゃう。いやほんとに、コロナ禍では書くことがなくて困っちゃうんじゃないかと思います。本当は日常のささいなことを書けばいいんですけど、子ども視点ではなかなかそれも難しいのだと思います。

 

さて、ちょっとまえに、朝日新聞にこんな記事が出ていました。夏休みの最終日になって、家族に自由研究をやっていないことを打ち明けて、そのときのリアクションをレポートにまとめて提出した小学生がいたというのです。記事では、哲学者も絶賛していました。本当にそこに興味があって研究対象に選んだのか、ウケ狙いなのか、自由研究をしたくないための詭弁なのかわかりませんが、まあとんちがきいていますし、そういうのもありだと思います。

 

せっかくなら、家族のリアクションじゃなくて、先生のリアクションをレポートしたらもっと面白いのにと私なんかは思っちゃいました。

 

先生 みなさん、自由課題を提出してください!

生徒 先生、ごめんなさい! やってません!

先生 えーーー!

 

みたいなときに、先生がどんな顔をするのか、何を言うのか、その後そういう生徒にどう対処するのか、教育ジャーナリストとしても知りたいです。

 

いまどきの小学生ならば、それをスマホで撮影して、検証動画として編集することだってできるでしょう。そんな状況でポケットからスマホを取り出して撮影をし始めたらその瞬間に「こら!」って怒られる気もしますが、もしそんな小学生がいたら、将来とてもいいジャーナリストになるかもしれませんよね。

 

なんなら、違うクラスの友達と結託して、それぞれの担任の先生のリアクションを動画で比較検証するとかやったら、冗談じゃなくて、ものすごい価値のあるドキュメンタリーになると思います。

 

宿命的に二学期が始まってからでないと取りかかることのできない自由研究ですから、夏休みの自由研究に位置づけること自体が間違いのような気もするのですが……。

 

以上は半分冗談で半分本気の提案でした。

 

さて、昔から朝顔の観察日記なんてものが定番でしたけれど、いまどきなら本当にスマホで簡単に写真や動画が撮影・編集できますから、ノートや画用紙じゃなくて、動画やパワーポイントという形での提出でもいいですよね。新しい学習指導要領では、教育現場でのデジタルデバイスの積極的な活用をうたっていますし。

 

脚本を書いて、家族に俳優になってもらって、ショートムービーをつくるという自由研究だって、いまなら比較的気軽にできるはずです。そんな自由研究があったら最高だと思います。「うちの子、まだ何もやっていない……」というお父さん、お母さんは、俳優として一肌脱いであげてもいいんじゃないでしょうか。

 

コロナ禍でできることがものすごく制限されているなかだからこその新しい自由研究がたくさん生まれると、それはそれでいいなと思います。そのためには大人が常識に囚われず、子どもの発想を前向きに認めることも大切です。

 

転んでもただでは起きない。そんなポジティブな意味での「コロナ世代」という言葉が何年か後に使われるようになるといいなと思います。

 
※2021年8月26日放送のFMラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容です。