子どもの主体性を大事にして、できるだけ子どもに選ばせるように意識している親御さんは増えてきていると思います。小さなころから自分の頭で考えて判断する訓練です。いいことだと思います。

 

でもこんなことはありませんか?好きなものを買ってあげるよと言っておもちゃ屋さんに言って、「これ!」って子どもが好きなものを選んだら、親としてはちょっと買い与えたくないもので、「それはダメなんだよなあ」みたいな。

 

お菓子売り場でも似たようなことが日常的にあるかもしれませんね。さらには中学受験なんかでもあります。志望校選びで、子どもの好きなところを選べばいいといいながら、「いや、おとうさん、そこは違うと思うんだけど」みたいな。

 

「自分で選びなさい」と言いながら、「ただし、私(親)がよいと思うものの中から」という意味合いになってしまっていることは多い。だったら最初から、「このなかから選んでね」と伝えるべきですよね。

 

自分で選べるひとになってほしいから、小さくても子どもに自分で選ばせることに重きを置いて子育てをしているひとは多いと思いますし、その心がけは大切だと思います。とはいえ、子どもです。もっている情報量も限られていますし、判断力だって未熟です。いきなりフリーハンドで自由に選びなさいというのは、子どものキャパをすでに超えています。

 

「あなたが好きなところに住みましょう!」とかいって、北は北海道、南は沖縄までの一軒家からマンションまでの物件情報を並べられても子どもは困るじゃないですか。「あなたのためなんだから、自分で選びなさい!」とかそこまでいくとある意味、虐待ですよ。

 

勉強や運動と同じで、明らかにキャパ以上のことをやらされることは子どもにはストレスになります。子どもにちょうど良い負荷を与えてあげなければいけません。子どもに選ばせるという行為に関しても、子どもの判断力で判断できる程度にまで条件をそろえておいてあげるさりげない配慮があったほうが、子どもは自分で選ぶ楽しさや責任を実感できます。

 

子どもが小さいうちは、予め親が選択肢の幅を限定しておいてあげて、そのなかから子どもに選ばせればいいと思います。子ども自身が「自分で選んだんだ!」と思えることが重要です。子どもの成長に合わせて親が用意する選択肢の幅を徐々に広げていけばいいのです。

 

今日の話の趣旨は以上なのですが、そういう練習をする場として、駄菓子屋さんってすばらしいなと私は思っています。

 

100円なら100円という選択の幅のなかで、500円なら500円という選択の幅のなかで、子どもは自分で選ぶことができます。計算の練習にもなります。選択に失敗したってたかがしれています。そもそも子どもが選んではいけないものは置いてません。合成着色料の問題とか、そもそも砂糖菓子は禁止というご家庭もあるとは思いますが。

 

「100円玉を与えて、これで好きなものを買っていいよ」と言ったら、何を選んでも口出し無用です。パッケージにひかれて買ったら辛いお菓子で、食べられなかったなんて失敗をしてもいいじゃないですか。知らんぷりして見てればいいです。

 

それで訓練を積んで、お金の使い方がちょっとわかってきたと思ったくらいから、月200円とか、お小遣いをあげてもいいでしょう。それを使ってどこで何を買うのかにはやっぱり口を出すべきじゃありません。あげた当日に200円でどうしようもないものを買ってきたとしても黙っていればいいです。早めに失敗を経験するのが重要ですから。

 

 

※2021年7月1日のFMラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容です。