大都市圏を中心とした都府県で緊急事態宣言が発出されるなか、1月16日、17日には、初めての「大学入学共通テスト」が実施されます。昨年までの「センター試験」に代わるテストです。これから中学受験も高校受験も本番シーズンに突入します。

 

現在の状況では本人がいくら気をつけていても、いつどこで感染するかまったくわかりません。「感染したらどうしよう」と不安な気持ちのなかで最後の追い込みに取り組む受験生も多いことでしょう。

 

そんな受験生およびそのご家族が読んでおいたほうがいいと思われる文書があります。文部科学省が2020年6月19日に決定し、10月29日に改訂した「令和3年度大学入学者選抜に係わる新型コロナウイルス感染症に対応した試験実施のガイドライン」です。

 

もともとは大学入試でのコロナ対応を想定してつくられたガイドラインですが、文科省は、高校、中学校、小学校の入学者選抜においても「同等以上の対応策を講じた上で、同様の扱いを取ることが可能」としています。たとえば中学入試における各中学校のコロナ対応策を見てみると、学校によってやはりこのガイドラインを下敷きにしつつ、各学校の実状に合わせていることがわかります。

 

試験会場の設営に関する注意点はもちろん、発熱や咳などの体調不良の症状がある受験生のために、追試や別室受験の機会を設けましょうということが書かれています。

 

そのガイドラインによると、もし保健所より濃厚接触者に該当すると伝えられてしまった場合でも、以下の要件を満たせば受験させることが可能としています。

 

(1)初期スクリーニング(自治体によるPCR検査及び検疫所における抗原定量検査)の結果、陰性であること

(2)受験当日も無症状であること

(3)公共交通機関を利用せず、かつ、人が密集する場所を避けて試験場に行くこと

(4)終日、別室で受験すること

 

この場合の濃厚接触者というのは保健所によってそう認定されたひとのことです。近くに感染者がいたというだけなら通常通りの受験が可能です。また、ガイドラインは、「当日受験させないこととする場合は、追試験による対応等を提示すること」と、新型コロナウイルスの感染拡大に巻き込まれた受験生になんらかの救済措置を講じるように大学側に求めています。

 

ただし、大学や学校によっては「濃厚接触者」は受験不可としている学校もあります。やはり「濃厚接触者」になってしまうことは避けたいところです。もし受験生が生活をともにする家族のなかに感染者が出れば、受験者本人も「濃厚接触者」になってしまう可能性は高いことはいうまでもないでしょう。ご家族も気が気じゃないと思います。

 

これからの時期、受験が終わるまではご家族も、一切の会食を避けるくらいの気持ちで生活していてもいいのではないでしょうか。会社の同僚とのランチやコーヒーを飲みながらの商談も、正直に「家に受験生がいるんで」と言って遠慮していいと思います。まわりもそれを理解してあげましょう。

 

経済を回すことも大事なのかもしれませんが、子どもたちの努力が水の泡にならないように、みんなで守ってあげることも、大人の責任だと思います。

 

 

※2021年1月14日のFMラジオJFN系列「OH! HPPY MORNING」でお話しした内容の書き起こしです。