写真撮影:(c)佐藤克秋

 

9月23日(水)AM11時~(40分)安浪京子さんとオンラインセミナーやります。

共著書『中学受験の親たちへ わが子の「最高」を引き出すルール』の出版を記念して。

お申し込みフォームはこちら。  https://pro.form-mailer.jp/fms/74deccd6202957

 


 

まもなく書店にも並び始めますが、先行立ち読みサービスとして、ここで「はじめに」を公開します。

 

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はじめに ・・・・親は、中学受験とどう向き合うのが「正解」か

 

中学受験の結果が子どもの人生を決めるかのような集団幻想がまかり通り、親たちは強迫観念にとらわれ、まゆつばな情報に振り回されやすくなっています。「あれがいい」と聞けばあれを試し、「こうしたほうがいい」と言われればこうしてみる。まるでイソップ物語の「ロバを売りに行く親子」です。

 

「これからは正解のない世の中。自分の頭で考えられる子を育てなければいけない」と言われているのに、親が自分の頭で考えようとせず、いわゆる中学受験マニュアルに頼っているようでは本末転倒です。

 

私も含め、いまの親世代は、デートから就職活動までのありとあらゆるマニュアル本が流行した時代に多感な時期を過ごした「マニュアル世代」ですから、気持ちはわからなくもないのですが、マニュアル通りにしか物事を決められない親の背中を見て育った子と、失敗しながらも自分の頭で考えて物事を決める親の背中を見て育った子と、どちらがこれからの時代にたくましく生きていけそうかは、火を見るより明らかでしょう。仮に前者のほうが偏差値的には〝いい学校〞の合格を勝ち取ったとしても。

 

と、まあ、そんなことをいろいろなところで申し上げているのですが、いかんせん私はカリスマ塾講師でもなければ教育学の権威でもありません。「子どもたちのために大人たちができることは何か」をテーマに、さまざまな教育の現場を見てまわる、しがない物書きです。そんな私が精神論を連呼しても、具体性に欠けるきれいごとに聞こえてしまう。

 

しかし今回は、強力なタッグパートナーと本書を著すことになりました。中学受験専門のプロ家庭教師として、日々直接的に子どもたちの指導に当たっており、「きょうこ先生」の愛称で数々のメディアにも登場する安浪京子さんです。

 

二人で協力して、いま中学受験についてまことしやかに広まっている「マニュアル的常識」を検証します。きょうこ先生は徹底的に現場の視点で、私は一歩引いたところから。ちょうど「虫の目」と「鳥の目」のような役割分担です。

 

情報の洪水の中で、かといってマニュアルを鵜呑みにするのではなく、それぞれのご家庭にとって最適な中学受験との向き合い方を見つけるためのできるだけシンプルな考え方を提示できたらと思います。中学受験の算数にたとえるならば、公式に当てはめて解くのではなく、原理原則を理解して自らの思考力で正解にたどり着く方法を伝えたいということです。きょうこ先生が中学受験生を指導するときのスタンスと同じです。

 

第1章では、そもそも何のために中学受験をするのかという問いに向き合います。第2章では、中学受験勉強の「やらせ方」にまつわる誤解を解いていきます。第3章では、中学受験塾との付き合い方の注意点を提示します。第4章では、どこの学校に行くかで人生なんて決まらないという、にべもない話をします。第5章では、中学受験における親の役割について再定義したいと思います。

 

それぞれの章を二人で手分けして書きましたが、各章末に二人の対談があります。そこで、「虫の目」に対して「鳥の目」から見たツッコミを、「鳥の目」に対して「虫の目」から見たツッコミを入れています。二人の考えが微妙に食い違っている部分もあります。

 

「どっちが正しいの! ?」と戸惑ってしまうかもしれませんが、そここそがこの本のチャームポイントだと私は感じています。

 

本書を読み終えたみなさんに「結局自分で考えるしかないんだな(でもそのためのヒントがここにある)」という確信をもってもらえたとしたら、著者として幸甚です。それでこそ自分の頭で考える中学受験生が育つ環境が整うからです。

 

きょうこ先生も同じ気持ちであるはずです。

 

 

目次

 

第1章学歴がほしいだけなら中学受験はやめなさい――なぜ中学受験をするのか

第2章「フェイク学力」にご用心――「本当の学力」を上がる勉強法

第3章塾業界の「マッチポンプ」構造――塾を使い倒す新常識

第4章学校は子どもを伸ばさない ――志望校選びの玄人的着眼点

第5章中学受験は親の受験じゃありません― ―親子の信頼関係の育て方