わが子がカンニングしていることが発覚したらどう対処しますか?

 

「そんなこと、考えたこともない」「うちの子に限って」という親御さんも多いでしょう。でも、中学受験生の相当数がカンニング経験者だと言われています。成績のいい悪いとかは関係ありません。

 

カンニングは卑怯なものだと思われていると思いますし、実際そうだと私も思いますが、ではカンニングをする子どもたちがみんな卑怯な性格の持ち主なのかと言えばそういうことでもありません。

 

特に小学生の場合、子どもの性格や人格がカンニングをさせているのではなく、ストレスが子どもにカンニングをさせているケースが圧倒的に多いのです。

 

つまりカンニングとは子どもからのSOSです。「ストレスでいっぱいいっぱいだよ」という。そう考えると、冒頭の対処法もちょっと変わってくるのではないでしょうか。

 

特に現在のコロナ禍で、中学受験塾でもテストを自宅受験に切り替えたケースがありました。ただでさえストレスがかかっている環境において、カンニングがしやすい状況が整ってしまえば、ついカンニングをしてしまった子どもが増えていてもおかしくありません。

 

では、わが子がカンニングをしていると分かったら、具体的にどう対処したらいいのか。中学受験のカリスマ家庭教師・安浪京子さんに話を聞きました。

 

子どもがカンニングする理由には、「勉強が面倒くさい」「上のクラスに上がりたい」「親に怒られる」というわかりやすいものだけでなく、「テストの点数が悪いと皆の前で先生に怒られる」「塾で居残りさせられる」「いつも勉強を見てくれるパパに申し訳ない」「夫婦喧嘩のもとになる」などなかなか複雑なものがあります。

 

こういう本音をため込み、日々をやり過ごすためにカンニングをすることが、子どもにとってどれだけつらいことか。カンニングという行為は悪いことですが、それをせざるを得ない状況に追い込まれてしまった子どもだってものすごく傷ついています。当然悪いことをしている自分を心の奥底では責めています。

 

カンニングが発覚したとき、京子先生は、「見たくなる気持ちはわかるけどねー」と一度は共感するそうです。そしてなんと「実は私もね……」と自らのカンニング経験を告白するそうです。そうすると子どもは自分を責める気持ちが和らいで、前向きな気持ちに切り替えられるようになります。

 

そのうえで、カンニングできない環境を大人が整えてあげます。子どもを信用しないでカンニングをさせないように縛るのではなく、子どもの弱い部分が出ないように思いやりとしてカンニングができないようにしてあげるのです。

 

一方で子どものプライドを傷つけない配慮も必要です。答えを写しちゃうような場合には、解答冊子を取り上げるというのが手っ取り早い手段になりますが、いきなりそうすると「僕、信用されない子どもになっちゃった」とショックを受けてしまうこともあるので、初めは「お母さんが採点するね」というところから始めて徐々に解答冊子を親が管理するようにしたケースもあるそうです。

 

そして仮に点数は低くても頑張りが見られる部分を見つけて、そこを褒めてあげる。それを続けることで、周囲との点差を気にしないたくましい子どもに育っていくということです。

 

誰でも間違ってしまうことはあるし、弱い部分が出てしまうことはある。それを乗り越えたときにひとままた成長できるので、もしカンニングのような過ちを犯したとしても、それを子どもの成長の肥やしにする知恵と余裕を親がもっていたいですね。

 

そのような親の心構えをまとめた京子先生との共著書『中学受験の親たちへ』が本日発売です。ぜひご覧ください。

 

※2020年8月27日のFMラジオJFN系列「OHQ HAPPY MORNING」でお話しした内容です。