6月12日に『世界7大教育法に学ぶ才能あふれる子の育て方最高の教科書』という本が出ます。世界7大教育法って定義があるわけではありませんが、どんな教育のことだかイメージ湧きますか?

 

モンテッソーリ教育というのがいちばん有名で、聞いたことがある人も多いかもしれません。最近では、将棋の藤井聡太さんがモンテッソーリの幼稚園の出身だということで話題になりました。

 

アメリカでのオバマ大統領、クリントン大陶業夫妻、イギリスのウィリアム王子とヘンリー王子、経済学者のピーター・ドラッガー、マイクロソフトのビル・ゲイツ、アマゾン創業者のジェフ・ペゾス、グーグル創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンなど、蒼々たるひとたちがモンテッソーリ出身だといわれています。

 

そのほか、シュタイナー教育、レッジョ・エミリア教育、ドルトンプラン教育、サドベリー教育、フレネ教育、イエナプラン教育をあわせて、世界7大教育法として本の中では取り上げました。

 

それぞれユニークな教育法なのですが、どんな教育かということはおいておき、今日はそれぞれの教育の創始者のユニークなひととなりを紹介したいと思います。

 

さきほど7つの教育法の名前を挙げましたが、モンテッソーリ、シュタイナー、フレネは人の名前です。レッジョ・エミリア、ドルトン、サドベリー、イエナは土地の名前です。

 

マリア・モンテッソーリは、1870年イタリア生まれ。当時としては珍しい女医さんの先駆けでした。発達障害をもつ子供たちの世話をするうちに、子供たちには自分で自分を教育する能力があることに気づき、1907年にローマの貧民街に「子どもの家」という幼児教育施設をつくったのが、モンテッソーリ教育の始まりです。

 

モンテッソーリは、自らが女性としてひどい差別を受けた経験から、常に弱者の立場に立ち、当時対応してきたイタリアのファシズムに対しても毅然たる態度を貫いた信念の人です。ノーベル平和賞にも3回ノミネートされていました。

 

シュタイナー教育の創始者はルドルフ・シュタイナーです。1861年生まれ。ドイツを中心に活躍しました。もともとゲーテの研究家であり、ゲーテの思想からの影響を強く受けています。

 

1919年にドイツに「自由ヴァルドルフ学校」を開設したのがシュタイナー教育の期限とされており、今年はちょうど100周年に当たります。海外では「シュタイナー教育」という呼び名よりも「ヴァルドルフ教育」の呼称のほうがメジャーです。

 

彼は独特な理論で、「社会有機体三分節化」という理念を発表し、一部で熱狂的な支持を集めますが、それがナチスから目の敵にされ、壮絶な嫌がらせを受け、ときには命まで狙われます。それでも屈しなかったのが、シュタイナーです。

 

最後に、セレスタン・フレネを紹介しましょう。1896年フランスに生まれました。彼自身は自分の教育法に自分の名前を冠すること嫌っていました。「このような教育がベスト」「このような教師がベスト」という「正解主義」的な教育こそを嫌っていたからです。

 

彼は第一次世界大戦で負傷兵となったこともあり、生粋の反戦主義者でした。第二次世界大戦中には、反政府的存在として一度は収容所に入れられます。釈放後も懲りずにレジスタンス活動に参加します。教育者であると同時に社会活動家でもあったのです。

 

と、これらの教育は、ただ単に「頭のいい子を育てましょう」というような教育ではないのです。人生をかけてファシズムと戦い信念を貫いたひとたちがつくりあげた、「遺志」の結晶ような教育法なのです。いまの時代にこそ、必要なことではないでしょうか。彼らが次世代に何を伝えようとしていたのかを考えると、「教育」の目的に対する視野もちょっと変わってくるはずです。

 

もっと詳しく知りたいという人は、冒頭で紹介した拙著『世界7大教育法に学ぶ才能あふれる子の育て方 最高の教科書』(大和書房・だいわしょぼう)をぜひご覧ください。現在発売中の雑誌『FQ JAPAN』にも私が書いた世界7大教育法に関する10ページの特集が載っています。大和書房の書籍のエッセンスをぎゅっとまとめた記事ですので、まずはそちらからお読みいただくのもいいかもしれません。

 

 

 

 

 

※2019年6月6日のFMラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容の書き起こしです。