カリスマ数学教師「イモニイ」こと井本陽久さん(撮影:久富耕輔)

 

 

「神奈川御三家」と称される超進学校・栄光学園中学高等学校に、「イモニイ」こと井本陽久というカリスマ数学教師がいます。

 

東大合格者数では全国トップレベルの超進学校に在籍してはいますが、イモニイのチャームポイントは、大学受験指導にあるのではありません。

 

「21世紀のグローバル人材を育成する」なんてお題目はこれっぽっちも掲げていません。「イケメンすぎる数学教師」という評判も、残念ながら聞きません。

 

それでもイモニイの授業には、全国の教員やカリスマ塾講師が「一目見たい」と見学に訪れます。そして一様に感動して帰っていくのです。授業を受ける生徒たちの躍動感が違うのです。

 

イモニイは宿題を出しません。市販の問題集をやらせたりということもしません。それでも教え子には、数学オリンピックや数学甲子園の上位入賞者や世界で認められた思考センス育成アプリ「Think!Think!」の開発者などがぞろぞろいます。

 

プロの教育者が見て驚愕するような授業展開や教え方をするスーパーティーチャーなのですが、それだけではありません。

 

イモニイは、「いもいも」という学習教室を運営し、学校の生徒以外の子供たちにも考える楽しさを伝えています。さらに、もう20年以上も児童養護施設の学習支援を続けていたり、7年以上、夏休みなどの長期休暇のたびにフィリピンのセブ島に渡り、児童養護施設などでの学習支援を続けています。

 

一方で、飄々としていて天然キャラ。ひとはイモニイのことを「コミカルな聖人」と呼びます。いま注目の、リアル金八先生です。

 

実は私はこの7〜8年にわたってイモニイと交流し、教育の現場を見てきました。そしてこのたび『いま、ここで輝く。』という1冊の本にまとめました。Amazonでは上位にランキングするなど、おかげさまで大きな反響をいただいています。

 

 

今回は、そんなイモニイがどんなふうに、生徒を育てるのか、ではなく、イモニイ自身がどんなふうに育てられたのかを知るエピソードを、本の中から紹介したいと思います。

 

イモニイは3人きょうだいの末っ子として、生まれ、手が付けられないほどやんちゃ坊主でした。お母さんは謝ってばかりの毎日。それでもお母さんから小言を言われた記憶はほとんどありません。

 

小学校1年生のとき、国語の授業で、夏休みの思い出について、作文を書くことになりました。隣の机の前川君はものすごい勢いで原稿用紙を埋めていきます。それを見たイモニイ少年は、対抗意識を燃やしました。

 

でも、書くことがない。そこでぜんぶ作り話で、原稿用紙5枚分の作文を書きました。

 

数日後、たまたまイモニイの自宅に親戚一同が集まりました。するとイモニイのお母さんは、その「嘘で埋め尽くされた原稿用紙」をもってきて、親戚一同に見せて言って大笑いしました。「これ見て! ぜんぶ嘘なの!」。すると親戚一同も大笑いして喜んでくれました。

 

その様子を見てイモニイは、「自分がしたことが、あんなにみんなをハッピーにさせるんだ。嘘でさえあんなに喜ばれるんだ」と感じたそうです。それが原体験になり、常識に囚われず、ゼロから自分でものをつくることが好きになったそうです。それが現在のイモニイの創造的な教育や子供たちを決して否定しないスタンスにつながっているのだろうと考えられます。

 

「嘘」は一般的には悪いこととされます。でも、「嘘」は「創造」の入口でもあります。人を傷つけるような嘘はダメですが、子供のかわいらしい嘘をおおらかに包み込み、創造力の芽を伸ばしてあげることも、子育てにおいては重要なのかもしれませんね。

 

★6月2日、池袋の三省堂で、イモニイと私のトークイベントを行います。予約受付中なので、お時間があればぜひお越しください。

http://ikebukuro.books-sanseido.co.jp/events/4420

 

 

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※2019年5月23日のFMラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容の書き起こしです。