イモニイはセブ島の路上でも突然授業を始める

 

 

5月10日に新刊『いま、ここで輝く。〜超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室』が全国の書店に並びます。そこで、GWに入る4月27日から5月10日の配本日まで、14日間連続で毎日、本のなかでも特に印象的なページを、チラ見せ的に少しずつこちらのブログで公開します。第10回目の本日は、イモニイが幼いころから抱いていた独特な価値観について。

 

 

「僕は、かなり幼いころから、お金持ちに生まれたからこそ手に入れることができるものとか、恵まれた出会いがあったからこそ得られたものとか、何かによって得られる・得られないが左右されるものには価値がないと思っていました。努力して手に入れることができるものも同じです。努力ができる状況のある・なしに左右されるから。これは自分の根本にある感覚でした」

 だから、イモニイ自身、頭がいいとか運動が得意とか、そういうことで評価されても、素直には喜べなかった。

「この感覚がなぜ育まれたのかを考えると、間違いなく、家族の中に障害をもっている兄がいたということが大きく影響しているんです。僕が自分の足で歩けて、運動も勉強もできて、それによって褒められて、それはうれしいし、そのおかげでいい学校にも行けたし、お金も得られて、不自由のない生活ができているけれど、でもこれってぜんぶ嘘だよなって思うんです」

 嘘を虚構と置き換えてもいいだろう。

「だって兄貴にはどうしたって無理なんだから。与えられた身体的条件や能力や、自分ではどうしようもできない環境によって、得られるものと得られないものがあるのは事実だと思いますが、だとしたら、そこでたまたま得られたものに本当の価値があるわけがない。真理が公平でないはずはないから」

 自分は小5で思い立って中学受験をし、栄光学園というすばらしい学校に入ってすばらしい教育を受けることができた。では、自分は兄より幸せなのか。そんなことはない。だったら、自分が努力によって得たものの価値はなんなのか。そこに価値なんてないんじゃないか。気付けば、そんなふうに思うようになっていた。

「僕は兄に特別にやさしかったわけではないけれど、兄という存在があったことで、そういうことを幼いころから自然に感じとっていたのでしょう。そうなると、世の中のほとんどのものって価値がないじゃないですか。目に見えないものを意識するようになるじゃないですか」

 

 

 

2019年5月10日発売!

『いま、ここで輝く。〜超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室』

(おおたとしまさ著、エッセンシャル出版社刊)

全国の教員が、 カリスマ塾講師が、 「一目見たい!」と見学に訪れる授業では一体何が行なわれているのか? 独創的な授業で子供たちのやる気を引き出す名物先生の、笑いと涙のルポルタージュ!