「いもいも」教室の授業風景

 

5月10日に新刊『いま、ここで輝く。〜超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室』が全国の書店に並びます。そこで、GWに入る4月27日から5月10日の配本日まで、14日間連続で毎日、本のなかでも特に印象的なページを、チラ見せ的に少しずつこちらのブログで公開します。第5回目の本日は、「イモニイ」が主宰する学習教室「いもいも」でよく見られる「奇跡」について、その2!

 

 

 イモニイと私は教室の後ろでその様子をただ見守る。イモニイは、「ほら、ちゃんと謝らなきゃ」などという口も挟まない。イモニイは私にこっそり耳打ちする。

「この教室で起きているほとんどのことは、学校では注意されてしまうようなことでしょう。でもそこで、注意してしまったり、問題が起こらないようにコントロールしてしまったりしたら、おかしなことになると思いますよ」

 その「おかしなこと」を、普通の学校では当たり前のようにやってしまう。そこではいじめなどさまざまな人間関係の問題が起きているのである。

「いもいも」では、あえて大人が注意やコントロールをしないことで、子どもたちは、集団としての自律性やお互いの個性を認め合う姿勢を自然に身に付けているのだ。

 聞けば最初のころは言い争いやいがみ合いもあったのだそうだ。しかし、それも黙って見守り、子どもたち自身に解決を委ねることで、少しずつ、集団として成長してきたのだとイモニイは言う。さきほどの「平和」の議論ではないが、これこそが、人類が求める「理想の社会」の「ミニチュア」ではないか。

「理想の社会」なんて机上の空論で「奇跡」でも起こらない限り実現するわけがないと私たち大人は知っている。しかし、限りなく「奇跡」に近いことが、この教室では起きている。この子たちなら、ひょっとして、社会にも「奇跡」を起こすことができるかもしれない。そう思えてくる。

 いや、私たち大人が「奇跡」だと決めつけていることが、実は「奇跡」でも何でもないことを、子どもたちが証明しているだけなのかもしれない。子どもたちには、大人たちにとっての「奇跡」をいとも簡単に実現する力がもともと備わっているのかもしれない。

「僕はただ、目の前の子どもたちだけを見て、ありのままの彼らを承認しているだけなんです。その子たちがつくる社会が楽しみでしょうがないんです。これからの社会をこうしたいから子どもたちにこんなことを教えようとか、こんな力を引き出してあげようとか、そんな発想はいっさいありません」

 

 

2019年5月10日発売!

『いま、ここで輝く。〜超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室』

(おおたとしまさ著、エッセンシャル出版社刊)

全国の教員が、 カリスマ塾講師が、 「一目見たい!」と見学に訪れる授業では一体何が行なわれているのか? 独創的な授業で子供たちのやる気を引き出す名物先生の、笑いと涙のルポルタージュ!