実際の栄光学園での授業風景

 

5月10日に新刊『いま、ここで輝く。〜超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室』が全国の書店に並びます。そこで、GWに入る4月27日から5月10日の配本日まで、14日間連続で毎日、本のなかでも特に印象的なページを、チラ見せ的に少しずつこちらのブログで公開します。第3回目の本日は、「頭がいい人ほど陥りやすい罠」について!

 

 

「はい。ちょっとパズルやめて。残り時間で『試行錯GO!』をやります」

「オー!」とか「イェーイ!」とか、歓声が起こる。生徒たちから人気の活動らしい。

「今日の問題は簡単です。『立方体をつくろう』です。ただし、幅が『1』の長方形からつくってください。1センチじゃなくていいよ。幅が『1』の長方形から、一辺の長さが『1』の立方体をつくってください」

「先生! のりしろはありですか?」

「ああ、いい質問だね。ただの長方形からは立方体の展開図ができないでしょ。だから必要なのは? 折る、重ねる……」

「切断!」

「切断したら簡単じゃん。だって正方形を6枚切り出せばいいんだもん」

「ハハハ!」

「折るのみです。折るだけでつくってほしいんだけど、折る前に、幅『1』の長方形がどれくらいの長さがあればいいかちょっと考えてみてください。長方形のここの辺の長さが『1』に対して、もう1辺はどれだけの長さがあれば折りたたんで立方体ができる?」

「8!」

「8でできる? 8でできると思うひと手を挙げて」

 半分くらいの生徒が手を挙げる。なぜ8でできると思うのか、私にはさっぱり見当がつかない。

「オマエたちのすごいところは、頭の中で考えて、頭の中で結論が出せること。つまり、実際に作業をしなくても予想できる。それはすごい。でもね。一方で、つくってみないと本当はわからないってことがあるわけよ。たとえば、オレのいちばん初めの授業でやったでしょ」

 黒板に三角錐と四角錐を描く。

「この2つの立体をくっつけたときに何面体ができるかという問題を出したときに、4面足す5面で、くっつくところで2面が引かれるから7面と答えて間違えたでしょ」

「あ〜ぁ」

「こういう問題は、頭がいいと逆に正解に気付けないんだよ。キミらの頭の良さが将来もしマイナスに働くことがあるとすれば、それは実際にやってみない場合なの。いま、みんな、『8でできる』って言ったろ。でもつくってみなきゃわからないから、実際につくってごらん」

 

 

 

2019年5月10日発売!

『いま、ここで輝く。〜超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室』

(おおたとしまさ著、エッセンシャル出版社刊)

全国の教員が、 カリスマ塾講師が、 「一目見たい!」と見学に訪れる授業では一体何が行なわれているのか? 独創的な授業で子供たちのやる気を引き出す名物先生の、笑いと涙のルポルタージュ!