男性の育児休業を推進するため、政府は、育児休業を何度かに分けて取得できる制度の検討に入った。

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20180604-00000079-nnn-pol

 

上記記事の中では男性の育休取得率が5%台とある。2016年度は3.16%だったので、上昇したのかもしれない。ただし2020年度までに13%という厚労省の目標はまだ遠いし、平均の育休取得日数は少ないはずで「なんちゃって育休」などといわれる状況も。4月に出産したのに忘れたころに会社から「年末年始に1日育休取得を取って」と言われたというケースも実際にある。

 

遅々として前に進まない感じがするが、思い返せば、かつては妻が専業主婦だと夫は育休が取れないなど制約が大きかったが、年々制度が充実してきている。いい傾向ではある。育休制度のおさらいをしておこう。

 

まず、「育児休暇」ではなく、「育児休業」が正しい。「暇」じゃない。原則として子供が1歳になるまでの連続した期間が対象。ただし、保育園が見つからないなどの事情がある場合は1歳6カ月の誕生日まで延長できる。

 

2010年に施行された改正育児・介護休業法から2つの制度が加わった。まず通称「パパ・ママ育休プラス」。父母ともに取得する場合は、子供が1歳2カ月になるまでの取得が可能になる。もうひとつが、「父親の2度目の育休制度」。原則として子供1人につき1回まで取得が可能だが、子供の出生後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合は一度復職してからもう一度育休を取得できる特例のこと。

 

育休が取得しづらい状況として、企業によっては、育休期間中は絶対に仕事はしちゃダメという原則が強すぎる場合がある。「仕事か育休か、二者択一」みたいな、「ゼロか百か」のような考え方。育休期間中は業務用の携帯電話が取り上げられたり、そもそも職場から机がなくなったりという徹底したケースも。これでは「職場から切り離される不安」が強く、育休を取らないという選択を強化してしまいがち。もっと柔軟な制度運用が求められていた。

 

「産後の肥立ち」と呼ばれる、産後の女性の体が一定程度まで回復するまでの時期には、身の回りの世話をするひとが必要なので、夫しかその役割を果たせるひとがいないのなら、そのときに取るのは必須。そのあとはむしろ1日中家にいるよりも、毎日定時上がりにしてくれるほうが実質的にありがたいというママたちも多い。ママの育休中に、パパが時短勤務というのも積極的に認められるべき。ママの職場復帰直後は、ママも仕事のペースを取り戻すまで大変なので、そこでパパが育休を取ってくれると安心して仕事に集中できて、ペースを取り戻しやすい。それがさきほど説明した「父親の2度目の育休制度」の趣旨。

 

今回の有識者会議の提言では、おそらく「子供が1歳になるまでの連続した期間」という原則の見直しを議論の俎上にあげようということ。実際に事務手続きが煩雑だと実効性が弱いようにも思うが、さまざまな状況に応じて少しでも臨機応変に育休が取れるようにしようという前向きな試みだと評価し、実現に向けて期待したい。

 

時間はかかるけれど、こうやって少しずつ制度を変えていくしかない。

 

※2018年6月7日にJFN「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容の書き起こしです。