サイボウズ青野氏らによる夫婦別姓訴訟について、Yahoo!ニュース個人で、論点整理の記事を書いた。
●サイボウズ青野氏らの夫婦別姓訴訟とそれに対する井戸まさえ氏の懸念。似て非なる「夫婦別姓」概念を巡って
続いてブログで、個人的に疑問に感じることを書いた。
●サイボウズ青野氏らの提案する「夫婦別姓」は、本当に簡単に低コストで実現するのか？
それをツイッターで告知したところ、青野氏本人が運営する夫婦別姓専用アカウントからコメントが付いた（この時点では訴訟関係者の誰かが運営しているのかと思っていたが）。
通常私は、知人以外とはネット上での意見交換をしない主義だが、せっかくブログで書いた疑問に当事者が答えてくれているのだからということで返信した。
そのやりとりで、いままで私が不思議でしょうがなかったことのごく一部が少しわかったので、ここに貼り付けておく。ツイッターのコメント欄は順番がわかりにくいと思うので。
先日ヤフーニュース個人に書いたサイボウズ青野氏らの夫婦別姓訴訟とそれに対する井戸まさえ氏の懸念の記事にちなんで、個人的な素朴な疑問をブログに書きました。現時点で私自身は今回の案に「総論賛成、各論保留」の立場です。https://t.co/JDOwWJAS5m https://t.co/JDOwWJAS5m
— おおたとしまさ (@toshimasaota) 2018年5月4日
民法上は同氏、戸籍法上は別氏だから問題ないという解釈です。
— 青野慶久bot(選択的夫婦別姓) (@besseibot) 2018年5月4日
私は知人以外とはネット上での意見のやりとりはしないことを原則としていますが、せっかくご教示いただいているのだと思うので、例外的にご返信します。
— おおたとしまさ (@toshimasaota) 2018年5月4日
何が「問題ない」のか確かではありませんが、やはり今回のやり方は、戸籍法上は「夫婦同姓の原則」がもともとないという「解釈」を前提にするわけですね。「解釈改憲」みたいに戸籍法6条を読み替えると。「そんなこと可能なの？」と素人目には感じます。ここがダメならこの案もアウトですよね。
— おおたとしまさ (@toshimasaota) 2018年5月4日
↑ここは非常に大きなポイントだと思う。「わかったこと」とはこれのこと。
この辺りは無駄にややこしいので、きれいに整理した方がよいと思います。しかし、年間60万組の結婚によって強制的改姓の犠牲者と無駄なコストが発生し続けている現状を受け、まずは早急に選択的夫婦別姓を実現し、引き続き議論を深めていくのが幸福度の高い進め方だと考えます。
— 青野慶久bot(選択的夫婦別姓) (@besseibot) 2018年5月4日
そのお考えに異論はありません。その上でなぜ「早急にできる」と言えるのかわからないのです。百歩譲って、戸籍法6条を「解釈改法」するとしても、1つの戸籍の中に別姓が含まれるとなったら、夫婦別姓だけの問題ではなくなります。その他の整合性をとるために大幅な法体系の再整備が必要でしょう。
— おおたとしまさ (@toshimasaota) 2018年5月4日
また、裁判所の法解釈によって、そして国会の立法方針によって、一文以上の変更が法体系に加えられたとしても、私たちとしては全く問題ありません。実現したいのは選択的夫婦別姓であり、それが最速で進めばいいのですから。
— 青野慶久bot(選択的夫婦別姓) (@besseibot) 2018年5月4日
結局ご提案の方法でも、大幅な法体系・戸籍体系見直しが必要ではないか、というのがブログ記事の主旨です。現実的には「1文追加だけ」では選択式別姓は実現できないのであれば、そこを強調するのは誤解を招くと思います。ただ「違憲」を勝ち取る方法としては、今回の方法は優れていると思います。
— おおたとしまさ (@toshimasaota) 2018年5月4日
素人からの余計なお世話とは思いますが、以下の疑問への答えを明示すれば、今回の案への支持者が増えると思います。3点あります。
— おおたとしまさ (@toshimasaota) 2018年5月4日
（1）戸籍法に1文を追加するだけでいいますが、その1文を入れることによって、戸籍を作り直す必要は発生しないのか、そのほかの論理矛盾は生じないのか。
— おおたとしまさ (@toshimasaota) 2018年5月4日
（2）今回の案との類似が指摘されている1996年の法制審議会で議論された「C案」はなぜ支持を得られなかったのか。今回はそれをどう乗り越えるつもりなのか。それを示さなければ、1996年と同じ議論を経て同じ結論に達するのでは？
— おおたとしまさ (@toshimasaota) 2018年5月4日
（3）今回の訴訟を、民法改正への通過点としてとらえ、民法改正まで争うつもりがあるのか、ないのか。もし途中でバトンを渡すつもりなら、次の走者に、どんな形でバトンを渡すつもりなのか。引き継ぎにくい形でバトンを渡して「あとはよろしく」ではまずいと思います。
— おおたとしまさ (@toshimasaota) 2018年5月4日
・・・以上
— おおたとしまさ (@toshimasaota) 2018年5月4日
部分的にでも、お考えを教えていただき、ありがとうございました。
— おおたとしまさ (@toshimasaota) 2018年5月4日
あ、botと書かれているので、訴訟の関係者さんが運営しているアカウントなのかと思ったら、青野さんご本人なのですね。今気付きました。ありがとうございます。
— おおたとしまさ (@toshimasaota) 2018年5月4日
青野さんご本人だということなので、せっかくなので、あと1点追加します。担当弁護士の方が、日本会議に「日本会議の提案内容が実現される訴訟です」とメッセージしたと報道されていますが、「日本会議の提案内容」が具体的にどういう部分を指しているのかも、明示したほうがいいと思います。
— おおたとしまさ (@toshimasaota) 2018年5月4日
「戸籍上の夫婦別姓」を防波堤にして「民法上の夫婦別姓」を聖域化するという意味であれば、民法上の氏の変更に苦痛を感じ、民法上の夫婦別姓を求めている人たちへの逆風になるわけですから、彼らがこの訴訟に不安を抱くのは当然です。そこを払拭するべきだと思います。
— おおたとしまさ (@toshimasaota) 2018年5月4日
やりとりは以上。 専門家ではないので、これ以上難しいことはわからない。専門家たちの意見を聞きたい。