6月17日 20:15からフジテレビネットニュース「ホウドウキョク」に電話生出演しました。
おおまかな発言録をここにアップしておきます。

報じられていること
△15日、京都府立朱雀高校が昨年11月、妊娠中の3年生の女子生徒(18)に、休学を勧め、卒業するには体育の補習が必要と説明していたことが分かった。
△同校によると、昨年8月ごろ女子生徒の妊娠が発覚。女子生徒は同級生との卒業を望んでいたが、高校側は11月ごろから、出産準備に専念するため休学するよう勧めた。その際、女子生徒の体育の成績が「1」のため、卒業には、球技や持久走などを含めた実技の補習が必要になると説明したという。
△同校では、病気やけがの場合は「特別な事情」として配慮するが、「全日制では生徒の妊娠を想定しておらず、妊娠を特別な事情とは考えていない」と説明している。
△一方、学校側は取材に対し「生徒側との話し合いのなかで、実技の補習を座学などで代用することも視野に入れていたとした」と釈明したが、そのことについては女子生徒側には伝えていなかったという。
女子生徒は結局今年1月から休学。現在は8月に同校の通信制への転籍を目指しているという。
△石田充学(みつのり)副校長は「全日制では学業と出産・子育ての両立は難しいと考え、休学し通信制に移るよう勧めた。今回の事態を受け、今後妊娠した生徒への配慮を検討したい」と話している。

論点
①なぜ学校側は休学を勧めたのか?
不明。生徒としては卒業してから出産し、子育てに専念したいと思っていたはず。出産後高校に通うことなど出来るわけがなく、休学すれば実質的に退学することになる。ニュースを聞いたときには卒業させないためのいやがらせではないかと感じた。

②妊娠は「特別な事情」ではないのか?
明らかに特別な事情。あまり多いことではなく、さまざまな感情はあるかもしれないが、生徒が高校卒業を望んでいるのなら、なんとかそれを実現する方法を考えるのが学校および教員の役割。「想定していない」ならそのときに、原理原則に照らし合わせて考えればいい話。

③学校の体質や学習指導要領に問題は?
学習指導要領は目安でしかない。当該生徒に単位を出すかどうかなどは現場で判断できること。実技ができない状況にあるのならそれにかわる指導の手段、評価の方法はほかにいくらでも考えられる。今回の学校の対応はあまりに応用力がない。
しかし「座学などの代替案を考えていたが生徒には伝えていなかった」という証言からもやはり、応用力がなかったというよりは、単なる嫌がらせであった可能性のほうが高いのではないかと思う。
一方、SNSで「学校の決めたことができないのなら単位がもらえないのは当たり前」みたいな書き込みを私よりずっと年上の人たちがしているのを見て、愕然とした。これならゆとり世代のほうがよほど柔軟性や応用力に優れている。
学校はダメ出しをするところではなく、子供たちのがんばりを認め可能性を広げるところ。
学校は資格試験のための教習所ではない。その根本原理を理解していない大人が多いことに愕然とする。

④高校在学中の妊娠にどう対応すべきか?
「金八先生に聞いて下さい」というのは冗談ですが、個別に考えればいいこと。
妊娠だけでなく、いろいろな事情が生徒にはある。
すべてにきめ細かくというわけにはいかないかもしれないが、できるだけ個別の事情に対応できるようにすることが必要・・・というのが優等生的な答え。
それとは別に、たしかに望まれない「妊娠」を減らす工夫は社会として必要だが、一方で「妊娠」をネガティブなこととしてとらえる風潮もいかがなものかと個人的には思う。
「高校生の妊娠」という問題と「妊娠した高校生に学校としてどう対応するか」という問題は切り分けて考えるべき。
生徒が妊娠したのであれば、もちろんまわりはみんなびっくりするとは思うけれど、妊娠して、本人も赤ちゃんをしっかり育てていこうという覚悟をもっているのなら、それをまわりのみんなで応援するのが人間ではないだろうか。
お友達が妊娠したという状況で、まわりの生徒にできるサポートを考えるというのも一つの教育になり得る。
いろいろな価値観、いろいろな生き方を教えるべき学校で、今回のように「想定外」を「つまみだそう」とする排除の力が働くことは残念でならない。