私のサイト「パパの悩み相談横丁」が、開設5周年を記念して、プチ改装しました。
http://www.papanonayami.net

5年間で820通以上の相談メールのやりとりをしました。
お役に立てなかったケースもたくさんあると思いますが。
そのうち約7割はいわゆる産後クライシスです。
要するに夫婦関係の悩みが大半です。

開設当初はイクメンという言葉も一般には認知されていませんでした。
しかし、イクメンという概念が広まるとともに、妻の夫への育児期待度は上がりました。
それにともない、皮肉なことに、夫婦間の葛藤も増えたのです。

最近では職場の理解が得られないという相談も若干増えているように思います。
企業も男性の育児を支援すべしというムードが広まったことで、会社に対する期待度が上がりました。
その結果、皮肉なことに、会社に対する不満も増えているということでしょう。

いずれも過渡期にはしょうがないことです。

しかし面白いですね。
妻が夫への期待度を上げ、夫が会社への期待度を上げる。
こうやって社会は変わっていくのですね。
次は会社が行政への期待度を上げるのでしょう。

一方でちょっと気になることもあります。
2013年の春くらいから、相談件数が激減していた時期がありました。
最初は意味がわかりませんでした。
しかしあるとき気付きました。
景気だ!

「男性の育児」というテーマが注目されはじめたのはバブル崩壊以降、特に1997年の山一証券や拓銀の破綻のあとからです。
そして「イクメン」という言葉が流行りだしたのは、2008年のリーマンショック以降です。
民主党政権になり、世の中が混沌としていく中で、当時の長妻厚生労働大臣が国会で「イクメン」という言葉を用い、それがそのままそのときの流行語大賞になったのが2010年です。

きっとバブルの追い風が吹いているときは、働けば働くほどもうかって、評価も上がり、毎日会社に行くのが楽しくてしょうがなかったのでしょう。
しかし今、長引く不況の中、どんなに仕事をがんばってもなかなか業績は上がりません。
それならば、家に帰ってかわいい妻と子どもの顔に癒やされているほうが幸せだという価値観が、世の男性たちの心に広がっても不思議ではありません。

男性にとって、バブル期ほど、会社という空間が居心地のいいものではなくなってきた。
相対的に家庭の居心地が良くなった。だから男性は家庭を大事にするようになった。
……というのが、僕の、ちょっとシニカルな見立てなのです。
ということは、景気が良くなったとすると、また男性の家庭離れが起こるかもしれないということを私はもう数年前から予言していました。

「アベノミクス」によって、バブルか実体かは別にして、景気が上向き傾向にあります。
ボーナスも、アップししている会社が多いようです。

「パパの悩み相談横丁」への相談が減ったのは、景気が良くなって、男性が再び仕事に情熱を傾けだしたのかもしれないなと思うのです。
オトコってつくづく身勝手な存在なのですね。