令和3年第4回定例会 一般質問 その4です。

 

<質問>

AR・謎解きを活用した地域活性化事業について質問させていただきます。 本年、10月1日から31日にかけて「スガモ消滅2026」というイベントが行われました。これは、大正大学の招聘教授の窪田望氏が企画し、大正大学主催、豊島区と一般社団法人コンソーシアムすがも花街道(構成団体としては、大正大学、巣鴨駅前商店街、巣鴨地蔵通り商店街、庚申塚商栄会)が後援で行われ、街歩きをしながら楽しめるAR謎解きイベントです。 ARとは、「Augmented Reality(オーグメンテッド・リアリティ)」の略で、日本語では「拡張現実」と呼ばれています。ARは、スマートホンやARグラス越しで見ると、現実世界にナビゲーションや3Dデータ、動画などのデジタルコンテンツが出現し、現実世界に情報を付加してくれる技術であります。 今回、このAR技術を活用し、スマートホンを使い、巣鴨の街歩きをしながら謎解きを行うというイベントが先ほど述べました「スガモ消滅2026」というイベントです。当初「スガモ消滅?」と聞いて怒る方もいらっしゃったと窪田教授からも話を伺いました。私も「なんだこれは?」というところから、大正大学の学生と思しき若い人たちがやっている のを見て「どんなものか試してみないと評価も出来ない」と感じ、参加させていただきました。必要なものは、事前にアプリを入れたスマートホンと、筆記用具、クリップボード、イヤホンなどで、最初に謎の書という紙をもらい、ゲームスタート。最初の場所でアプリのカメラをかざすと動画が始まり「2026年某日に隕石が巣鴨を直撃する、巣鴨が消滅しないように参加した皆さんでこの危機を回避してください」という内容の話でした。ここからアプリで謎解きの問題が出され、謎解きをクリアすると次のチェックポイントへ移動し、動画が始まり、謎解き、移動というような形で街歩きをするというものです。最後まで   クリアすると隕石は消滅し、平和な巣鴨に戻るというお話でした。 謎解きをクリアすると次のチェックポイントへ移動するのですが、時にはお店の人にヒントを聞きに行くなどの指令もあり、いくつかのお店もこのイベントへ協力しておりました。私は、すでに頭が固いのか謎解きに苦戦し、ヒントを色々と見て、ゴール地点の大正大学まで2時間ほどかけて到着しました。今回のイベントで私が感じたのは、ARと いう技術を体験できることはもちろんでありますが、かなり凝った謎解きが非常に良かったと感じました。この謎解きは誰でも解けるような簡単な内容ではないと思いますが、じっくりと考えて、それでも無理ならばヒントを見て、回答をしていく。「なるほど」ということが結構あり、私自身は一問目でも10分以上、立ち尽くしてしまい、商店街の方からは「なにしているの?」なんて言われたりしました。たまたま通り雨が降ってきたので喫茶店で休憩しながら謎解きをしたのですが、滞在時間が長くなるので、休憩や食事などの利用につながると感じました。誰にでも解けるような簡単な謎解きではなく、本格的なものでありながら、どうしても分からなければヒントを少しずつ使って前に進めていくことにより、お子さん連れや若い人など多くの人が興味をもって参加できたのだと感じました。 11月9日には大正大学にて本イベントの報告会も実施され、私を含めた商店街のメンバー数人も参加させていただきました。イベントの参加者アンケートによると「巣鴨を前よりも好きになった人」は82%、「また巣鴨に行きたい」と答えた人は86%。更に「このイベントがきっかけで初めて巣鴨に来た人」は30.6%存在し、新たな巣鴨ファンの創出につながったと言えます。また、先ほど述べましたヒントを聞きに行ったお店では 売上が1.5~2倍になったとの報告もありました。また、このイベントはNHK、TokyoMXテレビ、BSテレ東、としまテレビ、日経新聞、朝日新聞、毎日新聞、など多くのメディアにも取り上げられました。こうした広告宣伝も含めた経済効果は6500万円ほどにもなるということでした。 本イベントには豊島区の後援もいただいているとお聞きしましたが、本イベントについての区としての感想などをお聞かせください。

<副区長答弁>

このイベントは、大正大学の学生や教員、スタッフが企画制作し、商店街の皆さまが協力、参加し、区も広報に協力させていただいた産官学の連携による地域や商店街の活性化事業として、効果的に実施されたと思っております。巣鴨の街で若者や家族連れ、年配のご夫婦など多様な方々が、スマートフォンと謎の書を携えて史跡や名所、商店街の店舗を回遊し、楽しみながら巣鴨の街の魅力を感じていただくとともに、地域のお店を利用していただくことから、商店街の活性化にも繋がっていました。また、企画制作した学生にとっては、自ら巣鴨の商店街各店舗へ協力依頼をすることを通じ、巣鴨の街を更に理解するとともに、マーケティングや企画立案のスキルを実践的に身に着けることができるイベントでありました。まさに、参加した方、関係された方全員が成果を感じられ、地域の活性化にも資する有効な取組みであったと認識しております。

 

<質問>

私は、このイベントは巣鴨地域の活性化に非常に有効であると感じました。参加者のアンケートからも「巣鴨はお年寄りの街と聞いていたので行ったことはありませんでしたが、とても素敵な街で、自分が聞いて知っていたのは巣鴨のほんの一部だった」や「近所に住んでいますが、自分の行く店以外は知るきっかけが無かったので、より商店街を広く知るきっかけになった」などもあり、遠くからの来街者と近隣にお住いの方、双方に巣鴨の街、ひいては商店街の良さを知ってもらう良い機会になりました。 今回は、大正大学の学生さんと窪田教授による企画でありましたが、単にARや謎解きというエンターテインメント要素だけでなく、巣鴨の地域活性化に大きく貢献したのではないかと感じています。更には、このイベントには再現性があり、謎解きなどのテーマを変えると何度も開催が可能であると思われます。私も実際に参加させていただきましたが、街歩き要素があり、自然と地域のお店を知ったり、買ったりするきっかけになると思います。 私は、このようなイベント、特に謎解きイベントを更に広げることにより豊島区内の様々な地域資源の魅力を新たな層へアプローチできるものと思います。例えば、イケバスに乗って4つの公園を周遊しながら、AR謎解きをするということなどでイケバスの認知度の向上、評価の高い4つの公園を有する「豊島区に住みたい」という好感度アップにつながるのではないかと思います。 また、トキワ荘やその周辺の地域資源をコラボレーションさせた街歩きなどで、トキワ荘は聞いたことがあるけれど行ったことは無いという層にもアプローチできるのではないかと感じます。その他にも豊島区には様々な地域資源があります。こうした地域資源とAR・謎解きを組み合わせることでより多くの方に豊島区の魅力を感じてもらうことが出来るのではないかと感じますが、区としてのお考えをお聞かせください。

 

<副区長答弁>

現在、区では地域の文化資源を回遊する「イケパス・アトカルツアー」を実施しております。これは4つの公園や、トキワ荘マンガ・ミュージアムをはじめとする区内文化施設をつなぎ、豊島区の魅力を点ではなく面で味わっていただこうとするもので、好評を博しております。例えば、そこにご提案のARや謎解きなどを導入することで、新たな集客が見込めるなど大きな効果があると考えております。また、11月17日より、池袋西口公園一帯で、民間事業者のエクストリーム株式会社の協力を得て、イルミネーション点灯と同時に「夜空のVR遊園地」が開催されております。これはスマートフォンを通して見ると、グローバルリングに観覧車やメリーゴーランドが登場するなど、デジタル技術によって「遊園地」が現れるもので、新たな街の魅力の向上につながっております。このように、各種イベントでARやVRを駆使したり、謎解きを組み合わせるなど創意工夫することによって、多くの方に豊島区の地域資源をより魅力あるものとして受け止めていただくことができます。さらに産官学で連携し、より多面的、効果的に実施することで、さらなる地域活性化につながっていくものと考えておりますので、機会を捉えて積極的な検討を進めてまいります。