本日、防災震災対策調査特別委員会が開かれ、11月に行った広島・岡山の視察報告書に関して、内容の確認を行いました。私が議会事務局に提出した報告書をこちらにアップさせていただきます。併せて現地での写真なども追加で載せさせていただきます。宜しくお願い致します。

 

防災・震災対策調査特別委員会視察報告書   自民党豊島区議団  池田 裕一  

 

 ■総括的な感想

平成30年7月豪雨はテレビ等の報道によって様々な現地の状況を拝見してきた。また、本年は2度もの台風が関東地方を襲い、千葉県などでは、今なお復旧に向けて活動が続いているところである。近年の雨による被害は短時間に猛烈な雨を降らせるのと合わせて、それが長い時間続くことにより発生する災害が多いものと感じられる。豊島区においても風水害被害の新たな対策を進めることで、被害の低減化を図ることができることと、区民への対応も適切なものになると感じられた。

 

 ■視察先

広島県呉市、天応地区 岡山県倉敷市真備地区

 

■視察の成果

<広島県呉市、呉市天応地区>

平成30年7月豪雨の状況を確認すると、7月3日の午前6時ごろから雨は降りだし、夕方16時ごろまでは時間雨量最大でも10mmを超える程度であったが、18時ごろより雨量は一気に増え、時間雨量最大は7月6日19時から20時までの1時間の間に51.5mmもの雨が呉市に降り注いだ。ご説明いただいた呉市の担当課長さんは、当時消防部局におり、19時40分ごろから119番が鳴りやまず、1時間当たり200件もの入電は入ったとのお話も伺えた。当然ながら200件全てを対応できるわけもなく、電話口にて「家の中に水が迫ってきている」といった通報には「上に上がれるところはないか?」「2階に上がれる」「では2階に避難しておいて」や「車の屋根で救助を待っている」という通報の際には「とにかく落ち着いて救助をまって」などの返答をするのが精一杯であり、公助では限界があると感じたとのお話も伺った。被害は死者28名、家屋の被害は3220件以上であり、広範囲に被害が生じたことを物語っている。また、幹線道路等の交通網においては49か所もの場所で通行止めが発生し、物流機能は完全に麻痺した。 避難所は7月6日より開設し受け入れを行った。避難所運営の課題を確認すると、需要の変化が挙げられた。飲食物に例えてみると、被災直後はとにかく水、そのうち食べ物を求め、その後ジュースやお茶、そして炭酸飲料と刻々と被災者のニーズは変化していく。ニーズに対応できないものは不要となり、たくさん用意しても被災者の不満を解消できるわけではないと感じた。また、今回呉市は交通インフラが麻痺したが、幸いにも海沿いという立地にあり、陸路がダメならば海路で、ということで、この点はある意味幸運であったとの話もあった。特に海上自衛隊の基地がある呉市という立地は、この利点をしっかりと生かすことが出来たのではないかと感じた。 また、避難指示等発令のタイミングについては、呉市は避難勧告の発令についてはガイドラインに基づくものであり、適切に行われたとの答えであった。しかしながら、これだけの被害が発生したことを鑑みると今後議論の必要があるとの話もあった。レベル4の避難勧告が一部地区では18時20分、市内全域においては19時10分ということで、先ほどの入電状況からすると逃げる間もないというのが当時の状況であったと感じられる。また、市民をはじめ、マスコミ、防災関連機関、市役所内部からの問い合わせや相談、苦情の処理などに追われ、本来の業務が遂行できていなかった点も反省点として挙げられていた。対応チームを別途置いておくことにより、こうした対応を本来の業務の支障となることなく行うことが出来たのではないかとの反省もあり、豊島区の対応でも必要であると感じた。








 

<岡山県倉敷市真備地区> 倉敷市真備地区は非常に多くの浸水被害が発生したエリアであり、被災当時もテレビなどにより酷い被害であると認識していたが、実際に現場で確認すると、広範囲に被害がもたらされたことが分かった。特に小田川の堤防が決壊したことにより多くの被害をもたらした。今回の視察では、最初に小田川と高梁川の合流地点を視察した。現時点では、合流点において双方の川の水位が変わらない状況であり、今回のように高梁川の水位が上昇すると小田川の流れの行き場を失い、越水、堤防の決壊へとつながったということであった。そのため、合流点を下流へと移すことで小田川の水位を5mほど低下させることが出来るとのことで現在事業中であった。川の流れを変えるということで壮大な計画であるが、被災前から心配されていたことであり、被災を契機に短期間での事業完成を目指している。本事業は地形的にも貯水池がそばにあり、それを利用することができるという事が合流点を変えることが出来た大きな要因と思われた。豊島区内では河川は高田地区に神田川が流れているが、東京都ならびに近隣県と共に治水対策を行う事により、その効果を発揮するものと感じられた。区内の整備だけではなく大きな視点に立って、治水対策を見つめていく必要があると感じた。







 

■その他

今回の視察の前に、台風19号が関東を襲い、様々な被害も出た。そして豊島区においても救援センターを開設し、様々な課題も浮き彫りになった。他の自治体において既に課題として挙がっている内容についても今後の対応に組み入れていくことにより、災害となった際に区民への適切な対応がとれると感じられ、今後、区の政策に生かしていきたい。