続いて子育て施策についての質問です。

 

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子育て、保育施策について、お伺いいたします。本年度も豊島区は待機児童ゼロを達成し、2年連続となりました。待機児童ゼロは23区内で千代田、豊島、そして今年杉並と現在3区が達成しております。また、保育園児の使用した紙おむつの処分費用など、全国から注目を集める施策も展開し、更に共働き家庭にとって子育てしやすい街へと進化を続けていると思います。 待機児童ゼロを達成した豊島区において、現在、保育園に入園されているお子さんの人数は何人になりますでしょうか。また、区内の幼児の人口のうち、どのぐらいの 割合が保育園に入園されておりますでしょうか。

 

更に、保育園に入園されている、子供さん一人当たりにかかる年間の、豊島区を含めた行政による費用についてはいくらぐらいになりますでしょうか。

 

また、保育園を利用されないで、ご家庭で子育てをされている方、また保育園ではなく幼稚園に通わせている方と保育園に通わせているご家庭でのお子さん1人当たりにかかる年間の、豊島区を含めた行政による費用についてはいくらぐらいになりますでしょうか。

 

保育園の待機児童ゼロ達成は、大変喜ばしいものであると思います。しかしながら、保育園の利用や保育ママなどのベビーシッター利用という選択肢ではない家庭での子育てをされる方々もいらっしゃいます。その方々の中には、将来的には仕事への復帰意欲のある方もいます。そうした中で、決して裕福とは言えなくても慎ましく暮らしていて、小学校に入るまでは家庭での子育てをしようというお考えの方もいらっしゃいます。そういう方からみて、保育園に預けることによる様々な行政の措置などの待遇と比べて、家庭での子育てというものを選択することで、豊島区から受ける様々な待遇の違いに驚かれることがあります。こうした待遇の違いに対して、豊島区はどのような見解をお持ちかお聞かせ下さい。

 

待遇を受けたいなら働きに出て保育園に預ければよいという論理は当然ながら乱暴な論理でありますが、家庭で子育てしている方がこうした声を上げると、乱暴な論理に振り回されてしまい、なかなか声を上げにくい状況でもあります。子育ては、一つの方法だけではありません。親御さんの状況など様々な中で、どの方法を選択するかは各家庭において考えられるものであると思います。 このような待遇の違いを改善すべく、例えば、家庭での子育てを選択した方々に対しては、豊島区として、住民税等の税の軽減措置を行うことや、保育バウチャー 制度の活用による子育てに必要な品物の購入などにより、家庭での子育てを選択 しても、全ての家庭が子育てしやすい街「としま」となるものと思われますが、見解をお聞かせ下さい。

家庭での子育てを選択したご家庭のお子さんも、保育園に通われたお子さんも同じ豊島の子供に違いありませんので、宜しくお願いいたします。

 

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区側の答弁です。

 

保育施策についてのご質問のうち、まず、保育園に入園されているお子さんの人数と区内の幼児人口に対する割合についてのご質問にお答えいたします。今年4月現在、区で把握できる保育園等に入園している乳幼児の数は、5,728人となっております。豊島区の今年4月1日現在の、0歳から5歳児の人口は、11,500人であり、その49.8%が保育園等に入園している状況であります。なお、消滅可能性都市と指摘された平成26年4月から比較いたしますと、この4年間で、乳幼児人口は約1.000人増加する一方、保育園等入園児はそれを上回る1,740人の増加し、在園率は12ポイントも増加したことになります。

 

次に、保育園利用、幼稚園利用、いずれも利用せず家庭で子育てをしている場合それぞれの子ども一人当たりにかかる年聞の行政による費用についてのご質問にお答えいたします。保育園を利用している子ども一人当たりにかかる経費を、一定の条件を置いたうえで、平成29年度事業費ベースで試算いたしますと、年間約200万円となります。区立幼稚園については年間約100万円、私立幼稚園の場合は、補助金のみとなりますので、年間約30万円となります。在宅で子育てをしている場合については、前提条件の設定が大変難しいところですが、仮に一時保育や子育て相談などの経費を保育園・幼稚園を利用していない乳幼児数で計算いたしますと、年間約10万円となりますが、この額の妥当性はさらに精査が必要であると考えております。なお、以上の試算においては、児童手当や子どもの医療費助成経費は保育園等の利用の有無にかかわらず同様であるため 、除外しております。

 

次に、保育園に預けた場合と預けずに家庭で子育てした場合の区から受ける待遇についてのご質問にお答えいたします。児童福祉法に基づき、保育を必要とする世帯に対し、保育を提供すべきことは申し上げるまでもないことですが、豊島区としても「豊島区子どもフラン」において、「すべての子どもの最善の利益が考慮され、家庭や地域のなかで子どもが成長し、子育てに伴う喜びが実感できるまちづくり」を基本理念として掲げております。したがいまして、在宅で子育てをしている家庭と、保育園に預けている家庭との行政サービスの違いがあるとしましても、それを待遇の差と考えるのではなく、すべての子どもが健やかに成長できるという視点に立って、子育て支援政策に取り組む必要があるヒ考えております。家庭で子育てをしている世帯に対しては、ゆりかご・としま事業や、ファミリー・サポート・センタ一事業、子ども家庭支援センターでの一時保育、各種相談や講座、親子遊び広場などのサービスを提供するとともに、保育園においても、一時保育、園庭開放、子育て相談、園行事への参加など地域支援の取組も行っております。今後も、子どもと女性にやさしいまちづくりを推進するため、すべての子育て家庭を対象とした支援策を充実してまいります。

 

次に、家庭での子育てを選択した方ヘの支援を行い、すべての家庭にとって子育てしやすい街「としま」とすることについてのご質問にお答えいたします。在宅子育て家庭に対する住民税等の税の軽減措置のご提案がございましたが、保育園等利用家庭と在宅子育て家庭を法令上どのように定義して区分したら良いか、どのように事実認定していくのか、また、世帯員の中に高額所得者がいる場合はどう考えるかなど、さまざまに大変難しい課題があるものと認識しております。また、在宅子育て家庭に保育バウチャー(サービス利用券)制度を導入についてもご質問いただきましたが、ご案内の通り、本区では現在、類似のものとして、お子さんが誕生したすべてのご家庭を対象に「スマイルカード」を発行しております。「スマイルカード」には、子ども家庭支援センターが実施するベビーマッサージや、子育て講座の参加券、一時保育無料券などがついており、特に、一時保育無料券は、多くの皆様にご利用をいただいております。「バウチャー券」を子育てに必要な物品購入などに使えるように、とのご指摘もいただきましたが、そうなりますと、商品券と同様の金券ということになり、子育て支援という趣旨に照らせば、これについても少し難しい面があると考えます。したがいまして、保育園等利用世帯と在宅子育て世帯の待遇の違いについて、税制度やバウチャー制度で改善するという手法の導入については、現時点では慎重に判断すべきであると考えておりますので今後の研究課題とさせていただきます。