先週末に閉会しました、豊島区議会 平成28年 第1回

定例会の最終日に、私が本会議場で登壇し

行いました討論の原稿をアップさせていただきます。

長文ですので、お時間があるときにご覧いただければと思います。

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私は、ただ今議題とされております 議員提出議案 第3号 自民党豊島区議団・公明党豊島区議団による 「無電柱化の推進に関する法整備を求める意見書」につきまして賛成の立場から、議員提出議案 第4号 日本共産党豊島区議団による「無電柱化の推進に関する意見書」については反対の立場から討論 を行います。
2月1日、全国245人以上の首長からなる「無電柱化を推進する市区町村長の会」 の方々は首相官邸で安倍首相と会談を行いました。高野区長も同席され、電線の 地中化を推進する法案の早期成立と予算確保を要請いたしました。無電柱化を推進する市区町村長の会会長の山下葛城市長によると、安倍首相は「国民 誰もが賛成する話だ。2020年東京オリンピック・パラリンピックまでにスピードを上げ、頑張って進めましょう」と応じ、無電柱化に前向きな姿勢を示したとのことでした。現在の日本における無電柱化の状況は、先進国の中において大きく遅れていると 言わざるを得ません。東京大学大学院教授の松原隆一郎氏の調査によると無電柱化率でロンドンでは100%、パリでも100%、香港100%、ベルリンでは99%、ニューヨーク83%となっておりますが、東京23区内においては道路延長ベースで7%、大阪市では5%、景観保護を訴えている京都市においてもわずか2%の  無電柱化率という非常に低い状況です。また、アジアの都市と比べてもソウルは46%、また限られたエリアではありますが、フィリピンのマニラ・マカティ地区では40%、インドネシアのジャカルタ・コタ駅周辺地区では35%、北京も34%と世界各国を見ても、日本の無電柱化の低さは際立つものがあります。このような状況を見ると世界各国は無電柱化推進の流れであることに、違いありません。無電柱化の主な効果としては、景観性の向上、防災対策、道路活用の利便性が  挙げられます。景観性に関しては、各地での成功事例があります。昨年9月に私は 巣鴨地蔵通り商店街の方々と共に川越市 蔵の街の街並みの視察を行いました。 川越市駅から歩いていくと、今までの電線の横たわる街並みから交差点を境に電線のない綺麗な空が望める街並みが広がっておりました。後ろを振り返ると電線の  横たわる街並み、視察参加者全員がその違いに驚き、無電柱化の意義を強く実感 した瞬間でした。川越は、無電柱化と街並みづくりで変化し、昭和50年代には通過車両ばかりで、閑古鳥が鳴くような場所でしたが、今では多くの来街者の方々で賑わっており、地域活性化の成功事例として多くの媒体で取り扱われております。 地域の発展が豊島区の発展にもつながり、住みやすい街になるものと思われます。無電柱化された綺麗な街並みは、訪れる人、住む人にとっても有効的であり、街の価値も上がります。そして、何よりも無電柱化推進の意義となるものは、防災対策であります。21年前の阪神淡路大震災の際に、電柱は8100本倒壊しました。2014年末に無電柱化民間プロジェクトが行ったアンケートによると阪神淡路大震災の際に電柱の倒壊により 何らかの影響を受けたという人は対象者のうち76%にも上ることが分かりました。 特に電柱の撤去に時間がかかり被災者の救出に遅れが出た、倒壊した電柱によって家が破壊されていたなど、電柱がなければ起きなかった二次災害の被害に多くの 被災者が遭遇したと回答しており、電柱が無ければこのような被害は防げたものと 考えられます。また、電線・通信線の被災状況を確認すると神戸地区の被災状況では、地中化された電線の被災率と一般の空中に張り巡らされた電線での被災率は80倍もの違いがありました。電柱という直接的な被害でなくても電力線・通信線の断裂による被災は、多くの人々を巻き込むものであり、被災を少しでも減らすことが重要であります。東京大学大学院教授の松原隆一郎氏による阪神淡路大震災の実績を元にした、首都直下型地震を想定した試算によると、およそ17000本もの電柱が倒壊すると予想されております。安心安全な街づくりを進めていく上で、電柱による二次被害を最小限に抑えていくことが大変重要であります。また、地震だけが電柱による被害を起こすわけではありません。台風や突風などの被害においても電柱や電柱による架空線は弱いのです。昨年9月、千葉県千葉市において突風被害が発生し電柱が2本倒壊しました。このわずか2本の電柱の倒壊による復旧作業が完了するまでに実に13時間もの間、通行止めとなりました。国土交通省の発表によると平成27年5月~9月のわずか5ヶ月間の間にかけて、台風や突風などの被害を受けた電柱は500本。停電は110万戸、通信障害は5万回線にも及びます。こうした様々な災害に対して未然に防止する策を講じていくことが今、求められております。また、電柱による交通事故への懸念も挙げられます。平成26年9月、世田谷区の都道において痛ましい死亡事故がありました。下校途中の小学3年生の3名が道路の端を歩いていると反対側から来た軽トラックにはねられ、一人が電柱に挟まれ死亡したという事故です。当然ながら運転者の責任は重大ですが、もし電柱が無ければ 挟まれる事は無かったのではないかと悔やまれる事故でもあります。また、狭い路地を歩いている子供たちの横を車が通過し、電柱により歩道部分が塞がれてしまうため、車道にはみ出ざるを得ない危ない道路も豊島区内にはあります。安心安全の街づくりを進めるためにも、こうした事故を未然に防止する対策として無電柱化は  有効であります。こうした状況により、今東京都においても無電柱化を推進しており、都道・国道は27%ほどの無電柱化率でありますが、道路延長において都道・国道は東京都内のおよそ1割の部分であります。道路延長の実に9割は市区町村道であり、市区町村道の無電柱化率はわずか2%であります。この市区町村道の無電柱化を推進することが、無電柱化率の向上につながりますでは、今まで何故無電柱化が進まなかったのかと考えると、太平洋戦争後に都市部が焼け野原となり、戦後復興の途上でまずは電柱を設けて電線を引くということから始まります。その後、電力の安定供給、通信の安定化・高度情報化を図る、更には電柱倒壊による危険性より倒壊した後の復旧の速さを優先するとの名目のもと、電柱による架空線を電力・通信事業者が選んできたということが要因に挙げられます。  しかしながら現在では技術も発達し、先ほども述べましたとおり、阪神淡路大震災の被災率では地中化と架空線では80倍もの違いがあり、また現在でも突風などの  無電柱化したことによる安定供給の阻害要因には当てはまらないものと考えられます。無電柱化は、街の景観だけでなく、万一の直下型地震の際に電柱が倒壊してしまう ことによる緊急車両通行への影響や通信線、電力線の断裂による都市機能のマヒ などを回避できる点、また交通事故の抑制などの点で大変有効であり、災害時のライフラインの供給を止めない為にも、この無電柱化は安心安全な街づくりに欠かせないものであると思います。無電柱化はまだ日本においては途上段階であり、多くの道路において電線地中化が推進されることにより、今後かかるコストも削減されると考えられます。また、国土交通省においても本年4月1日より「電線等の埋設に関する設置基準」を緩和することを決定し2月22日に報道発表を行いました。今回の基準の緩和により、浅層埋設や小型ボックス活用埋設等の低コスト手法の導入によるコスト縮減を図ることで本格的な無電柱化の推進を図ることが見込まれております。このような状況において、コストの負担を論ずるより、まずは無電柱化の推進に関する法律案の早期成立を図ることにより安心安全な街づくりを行うべきであります。
以上より、議員提出議案 第3号 自民党豊島区議団・公明党豊島区議団による 「無電柱化の推進に関する法整備を求める意見書」は可決されるべきものと考え、議員提出議案 第4号 日本共産党豊島区議団による「無電柱化の推進に関する意見書」は否決されるべきものと考えます。以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。