先週の土曜日に日本自治体危機管理学会

 第9回研究大会に 出席しました。

危機管理学会の所属ではありませんが

先日、東京商工会議所豊島支部青年部でご講演

いただきました、明治大学の野上達也先生より

ご案内をいただき、興味のある分科会での

発表がありましたので、参加させていただきました。

分科会の題目は「空家・老朽家屋の危機管理」です。

空き家問題は、豊島区をはじめ、日本全国で抱える

問題であり、危機管理という視野も必要だと感じましたので

参加させていただきました。

事例報告として、京都市と秋田県鹿角市の報告が

行われました。

京都市は、空き家対策特別措置法が制定される前の

平成25年12月に条例を策定し、平成26年4月に施行しました。

京都市空き家の活用,適正管理等に関する条例

というもので、今話題の空家等対策の推進に関する特別措置法

より前に制定した条例ですが、行政代執行の規定はないため

行政代執行を行う際の根拠法は、建築基準法を適用した

との説明もありました。

また、空き家対策特別措置法に施行によって

税情報の利用を行うことが出来、効率的な所有者の

特定を行うことが出来るようになったことは

大きな進歩であるとのお話も出ました。

しかしながら、共同住宅の一部(長屋等の一部)

については、空き家の適用にならないということで

特に、京都では長屋が多くあるため、長屋の空き家問題が

解消されないというお話もありました。

個別の事例もご説明いただきました。所有者が外国籍で

日本に居住していない。また、相続人も不明であり

海外の居住地を探し当てても、居住していないという回答と

いうことで、所有者のいない建物というになり

建築基準法を適用し、行政代執行を行ったとの経緯も

ご説明いただきました。(空き家対策特別措置法の施行前

ということで、建築基準法を用いたとのことでした)

また、秋田県鹿角市は積雪の多い地域であり、空き家が

雪の重みで倒壊する危険や現実に倒壊した建物の

撤去が中心のお話でした。

様々な事例を挙げていただき、その事例ごとに

背景もご説明いただき、相続放棄ということが

既に起こっているという事態、東京ではなかなか

考えられませんが、上京した方の郷里の不動産を

相続放棄している、または相続放棄したつもりに

なっているという物件が多々あるという実態を知りました。

そして、管理されていない空き家もそれなりの数があり、

雪国の秋田では雪下ろしを行わないために倒壊し、

道路を塞いでしまうという実態があるそうです。

空き家自体の経済損失もさることながら

所有者として使わなくなった建物は解体するのにも

費用がかかり、そのままにしておくことが合理的

ではありますが、近隣の迷惑など負の外部性の

存在は、社会的な非合理性ももたらすという

お話もお伺いいたしました。

空き家による不経済性は、特に何かの災害の引き金にも

なりえるものであります。

火災や倒壊などにより、人的被害が出ることや

周辺への被害など当該建物所有者以外への被害が

多くなることが予想されており、空き家は自分だけの

問題ではなく、周辺の方々を巻き込む町の問題と

なりうるものだと感じました。