だしかの(だしと小麦の可能性)
大阪市中央区(日本橋)
【メニュー】特潮ラーメン(塩)
【価格】1000円(“特”分100円含む)
[訪問時期] 2021年12月上旬(平日) 昼
[注文方法] 券売機にて
[スープ] 鶏豚+魚貝/清湯
[味] 塩
[麺] 中細麺(150g位)
[トッピング] 紫玉ねぎ、ネギ、芽ネギ、(別)鶏チャーシュー、豚チャーシュー、牛チャーシュー、パン、ドライトマトのムース、バジルのジェノベーゼ
[卓上] なし
大阪2日目、所用を片付けて向かった先はMさんの初レポで知り、ちょっと前には「今日の一杯」にも登場した新店。
「出汁と小麦の可能性」を短くした店名らしい。
11時半過ぎ、Google先生の示す場所には看板も何もなく、親店である「なおらい」由来のカツサンドが入ったショーケース、その下に「麺屋棣鄂」の麺箱。
予想していた行列もないので、予習していなければ入るのを躊躇ってしまいそう。
真新しい店内は奥のテーブル席に先客2名のみで、タッチパネルで食券を買うと、感じよい女性の案内でカウンター最奥席に案内された。
広めに仕切られ快適、各席に箸・レンゲとお冷やがプリセットされ、椅子の下には物入れも完備。
メニューの簡単な説明を読んでいると、ほどなく3種類のチャーシューと2種の味変具皿を載せた木盆が登場する。
案内された通りバジルの葉をすり潰すのに没頭していると、ラーメンご本尊がやってきた。
この作業で、かなり参加意識が高まっている。
■ スープと麺
スープは混然一体、旨味の塊。
主軸は鶏っぽいのだが複雑な旨味が絡み合って、言われなければ何が入っているか分からない。
Mさんレポや「今日の一杯」によれば、出汁は鶏、豚、金華ハム、昆布、ドライトマトで、塩ダレに蛤、干し貝柱、アサリ、干し海老などが仕込まれているらしい。
ネーミング通り潮感も満載な和風の「お出汁」に、時にコンソメチックな洋の趣きを感じたり、飲む度に表情が変わるようで、グイグイ引き込まれる。
麺丼には薬味だけのかけスタイルなのだが、これらがスープと見事に調和している。
麺は棣鄂製の中細ストレート。
滑らかな麺肌の多加水麺で、噛んだ瞬間から麺味が滲みだし、食感的にはしなやかな中にライトな歯応えと歯切れ。
棣鄂の麺はハリと咀嚼感を前面に出したイメージだったけど、こんなタイプの麺もかなりイケてる。
流石、美味しい。
■ トッピング、味変
鶏ムネ肉、豚肩ロース、ローストビーフ3種のチャーシューはいずれも低温調理で、お店では「レアハム」と称している。
どれも薄味で、上に僅かに塩気のあるオイルが垂らされている。
肉自体はオーソドックスな感じだが、「しゃぶしゃぶして」と案内された通り少し熱を加えて食べると、トロンとした肉にスープの味が載って確かに旨い。
同時に、スープに更なる奥行きが加わる気がする。
2種類の味変具が、この一杯の特別感を高めている。
ドライトマトのムースは上品なクリームトマト味で、これが出汁感を活かしながら複雑な味わいに昇華させる。
私はレンゲ上でスープと合わせて飲んだが、麺に絡めて啜ればパスタチックに変身するらしい。
自分ですり潰したジェノベーゼはバジルチーズ風味で、もちろん優れものだが結構なイタリアン激変をもたらすので、最終盤で試した方が良さそうだ。
ラストに残ったバゲット輪切りに、スープをたっぷりと浸して。
極上スープがパンに塗られたバターを載せて口内に還流してくると、麺とは異なるパンの小麦風味を感じて、これがまた新鮮。
皆さん仰る通り、なるほど「出汁と小麦の可能性」ですか。
■ 感想など
バジルすり潰しでテンションを高め、出会ったことのない極上スープと味変展開にうぉ!と引きずり込まれ、ラストは棣鄂麺とパンの小麦感の違いになるほどと頷く。
完全に殺られました。
ラーメンにも驚きましたが、先客が帰った後12時前まで後客がなかったことにはもっと仰天。
食べログは掲載保留店扱いだし、看板もないからまだ周知されていないのでしょうか。
ブレイクする前の今がチャンスだと思いますよ。
ご馳走様でした。