通勤途中の駅の階段を

大きなペビーカーを持ち上げ

一段一段上がっている若いお母さんの姿があった


その姿を見たとき

私の身体がすっと動き

ベビーカーに手を添えていた


大きなベビーカーは、なかなかの重さだった


お母さんは突然ベビーカーが軽くなったので

驚いて顔を上げ「ありがとうございます」



上までたどり着き、ベビーカーをおろすと

もう一度「ありがとうございました」


そして

赤ちゃんとお母さんにバイバイをした


それだけのこと


だけど

別れて歩き出したとき

自然と笑みがこぼれた


気持ちがいい


清々しい


何より、自分の体が

自然に動いていたことに

自分でも驚いている


私もまだまだ捨てたもんじゃない


善行は我に返る


こんな素敵な気持ちにさせてもらえたことに

「ありがとう」