息子の頬は漫才コンビ「ブラックマヨネーズ」の吉田さんのようになっている。
いつから、こんな風になったのか?
私の記憶にある息子は、とても綺麗な肌で、結構、イケメンだ。
ところが、いつの間にか、
肌荒れがひどくなって、その跡が残ってしまった。
「もっと早く気づいていたらー」
というニキビ用洗顔クリームのCMを見るたび、
胸が痛む。
私はずっと気づがなくて、
何もしてあげなかった母親
そして、気になりだした頃は、
とっくに、
息子とそんな話ができる状態にはなかった
洗面所に
男性用のスキンケア用品が並びはじめた時、
密かに喜んだのを覚えている
あれから、15年くらい経ったのか
息子の就職が決まり、何となく
話がしやすい状態になってきた。
先日、2人で食事をするしている時、
思い切って、聞いてみた。
「そんなに跡が残るほど、にきひがひどい時っていつ頃のこと❓」
「引越しのバイトしてる時かなぁ」
「‥‥」
「空気悪いし、ホコリかぶるし、体クタクタやったし」
「そうだったんだ」
大学を辞めてから、
しばらく、ほとんど自分の部屋から出ない毎日。
食事の時は、顔を見せても、
硬いバリアで、話しかける余地のない状態。
これが世間で言う「引きこもり」というものなのかと悩んだ日々
何か思いつめているのはわかるけれど、
声をかけることもできない。
ただ
生きていて!
と願っていた日々。
そんな息子を
オロオロしながら見ているだけの私。
いや、見ているつもりで何も見えていなかった私。
何年か経って
息子が、バイトに行き始めた。
その時の息子は
心身ともに、ギリギリのところで、
頑張っていたのだろう。
でも、私は、ただただ、喜んだ。
何もわからないまま、
何も見えていないまま
動きだしてくれたことだけを喜んでいた。
今も見えていないのかもしれないけれど、
今は息子の方が少し、扉を開き始めている
そんな息子を、
やっぱり、ドキドキしながら、見ている私。