大長編は社会人になってからはなかなか時間が取れないから若いうちに、学生のうちに読んでおけなんてよく言うが、年を取ると逆にまた時間の余裕ができる。もちろん、ごく一般的な傾向だが、老後の第二の人生は読書三昧という人はあまり見つからない。しかし、確かに時間的余裕はあるが、根気がつづかないのである。大長編を前にして途方に暮れ、その一方では期待などという二律背反的感情を抱き、実際に読みはじめると、すぐに倦怠感が襲いかかって本を置いてしまう。結局、読書も格闘技なのだ。