今、無事劇団事務所にたどり着いた。

というより僕は生放送のため一人朝早く宿を出て、劇団員の栗野に駅まで送ってもらいスタジオに駆け込みオンエアー後に事務所にたどり着いたところなのだが、さっき電話をすると「まだ、中華街で~す。」といっていたから皆楽しんでいるようだ。


ということで、この旅を、ざっくり振り返ってみよう!!


初日、朝9:45分集合集発の僕のいでたちは、赤褐色のレザーのパンツにロングコート、そしてマスクにサングラス。コノコーディネイトは、そう!風邪気味というコンデションだった。宴会続きで完全な調整ミス。それでもハイテンション!!

巡演で旅慣れしている座員をよそに、パーキングでは全員にたこ焼きを配り、スクラッチくじに興じ、車中では若い座員と馬鹿話し、疲れたらブログの更新と僕は一人ではしゃいでいた。そして農園レストランでバイキング形式の食事をとり、雨の中風頭公園で龍馬像をみて、亀山社中跡、亀山社中資料展示場、そして一度宿にチェックイン。

まづ目にはいったのは「歓迎ショーマンシップ 様」のあの看板。

なんだか、普通の会社の慰安旅行っぽくってテンションがあがる。


もともと劇団で旅行に行く、きっかけは唐人町商店街に拠点を移したときの公演でお客様からいただいたご祝儀だった。その金額にビックリした。そして本当にうれしかった。うれしかったのは金額ではなく、我々の存在を芸人として認めていただいたような気がしてうれしかった。通常、僕がもらったご祝儀は、そのまま経理に入金され劇団員は自分の懐に直接入る、「不条理劇的な状況(笑)」なのだが、そのときは演出の市岡と相談し、足りない分は劇団からだして、高知にいった。その年も「ダンス!ダンス!龍馬!」の公演もひかえていたから、どうせだったら桂浜で龍馬像をみよう!ということだった。片道10時間以上市岡がトラックを運転して起きて滞在している時間はなんと8時間ぐらいの1泊2日のハードな旅だったけど楽しかった。なんと龍馬像はその時期、修復工事が行われていたというオチがあったけど、芝居以外のことで一緒に行動すると、日ごろ見えない顔が見えたり、いつもジャージ姿しか知らない女性劇団員が、ほんの少しおしゃれをしていたりするのを見ると、こういうことは年に一度くらいやってもいいなあと思った。


 それから、「日田」「呼子(2回)」「嬉野」「別府(2回)」と行かせてもらっている。


さて、宿について2時間程の自由行動が許された僕にはやることがあった。一つは長崎におとづれるたびに寄っている。「雲龍亭の一口ギョーザ」を食べることと、劇団

員の山口がその存在を車中で語り爆笑をとっていた「大人のおもちゃの店「珍珍堂(ちんちんどう)」の存在の確認だ。「いやあ、子供の頃、何の意味もわからなくて親に『大人のおもちゃってなん?」聞いたら何も答えてもらえなくて、中学生になって、あの親の黙秘の意味がわかりましたよ!」と彼は語っていた。なんとそれは電車どおりに面した表通りにあるらしい。もちろん僕ははいるつもりはない。話のネタに看板だけもしみれたらいいなあと思っていた。本当だ。それに営業時間もかなり遅いと聞いているから夕方6時までには宿にもどらなければいけない僕には店に入るのは無理である。えらく時間まで詳しく聞いている?じゃあ、もし開いていたら入るのか?

・・・・・・・・・・・話を先に進めよう。


寺崎の運転で観光通りの電停まで行き車を降りたのは、僕と女性劇団員6名だ。

僕が先に降りて「さあ、皆どうす・・・・」と振りかえると皆すでに「カワイ~イ」といいながらブテイックみたいなところに走っていっていた。僕のうろたえた表情に気づいたの筆頭俳優の原岡だ。原岡が駆け寄ってきた。「座長大丈夫ですか?」流石、原岡だ。座長である僕を異国情緒あふれるこの街を一人で歩かせることなどさせやしないだろう。

「イヤ、大丈夫だ。」僕はコートを深く着なおして商店街全体を見渡し、もう一度彼女のほうを振り返った。

「そうですか!私も行ってきます。どうぞご自由に!!」

最高の笑みを残して、彼女も店のほうへと消えていった。




本当を言うと彼女らは夜食の買出しがあり、僕も一人でプラプラさせてもらいたかった。

浜の町商店街では、とおりの真ん中でアコーステイックライブが行われていた。まさにクリスマス前の様子だった。長崎、熊本、鹿児島それぞれの駅前、そして商店街には「路面電車」と「路地裏」という二つの魅力がある。

東京資本の居酒屋チェーンもたくさんあるのだけど、この「路面電車」と「路地裏」が聖域となって地域の魅力を作っている気がする。

そんなことを感じながら、お土産屋を冷やかしたり、夜の宴会のプレゼントや今回学校で来ることが出来なかった、演出の市岡家族へのお土産などを探して歩いていると、懐かしささえ感じる黄色い看板が目に入ってきた。

「雲龍亭」

長崎名物一口ギョーザだ。

僕はちゃんぽんより卓袱料理より、ここのギョーザが好きだ。幸いこの時間は、それほど店は込んでいない。芝居の用語でいうと「サブロクの戸」をあけて僕は店の中へ吸い込まれるように入った。

                                       パート2へ つづく。

   





   今からナレーションの仕事へ行ってきます。