出雲そばを食べに出雲へ3

件のプロペラ機の非常口横に座った僕が目にしたものは「非常時以外は外さないでください」という旨の掲示だった。やるなと言われればやりたくなるのは人の常。ついさっき乗客の安全に一役かう覚悟を決めた僕のなかに悪魔のささやきが生まれてしまった。天使の僕と悪魔の僕が戦いながらの空の旅だった。
空港について、直ぐに出雲そばの看板が目に入る。留守番には市岡からのメッセージなんと会場の松江から出雲空港まで車で迎えに来てくれているという！電話をかけるとあと10分でつくという。
明日が本番、しかも、特別な場合以外はここ15年は作家、演出家として活動していて久々の役者なので大変だと思うのに・・・・感謝！！しばらくすると役の為にパーマをかけた、市岡洋登場。
高校生の頃彼と出会い僕はなんど彼のバイクの後ろや彼の運転する車の助手席に乗っただろう。
最近は仕事の打ち合わせ以外ほとんど誘い合わせて遊ぶことなどないけど、こうして助手席にのると、ただただ芝居が好きだったあの頃にもどる。綺麗事だけではなく今思い出すと顔とお尻から火がでそうな出来事でいっぱいだったあの頃にもどる。車は空が近く緑が綺麗な道をとおって松江は八雲にむかう。
このとき空港でみた「出雲そば」の看板の文字が頭のなかでうごめいていたことなどここに書くべきことではない。