こんばんは。

 

トシムリンです。

 

8月10日に市場が最も注目していた経済指標の一つである米CPIが発表されました。

 

結果は総合指数は前年同月比+3.2%(予想:+3.3%)


食品やエネルギーを除くCPI(コア)は前年同月比+4.7%(予想:+4.7%)となりました。

 

前月比ベースでは総合指数は+0.2%、コアは−0.1%となっています。

 

これまでも述べてきた通り、一般的に説明される「前年同月比」は遅行指標であることから、今後の展開を予測するには不十分です。

そこで、今月のデータを元に筆者が独自で作成しているリアルタイムCPIを更新すると総合指数は1.9%、コアは3.05%となっていることから今のところ、そこまで心配する必要もないように見えます。

特にFRBはインフレを判断する際には総合指数ではなく、コアを見て判断するため、コアがリアルタイムでも低下傾向となっていることは安心できる内容だったといえましょう。

 

普通に考えれば、既に追加利上げは必要なく、あとは時間差効果を使ってインフレが抑制されるのを待つだけです。

 

但し、リアルタイムCPIをご覧頂ければわかる通り、鈍化スピードはそこまで早くありません。

 

従って、8月に発表されるCPI(7月分)はコアは横ばいか、やや低下となる見込みです。

 

総合指数は足元ではエネルギー価格は大きく上がっているので、来月、再来月はこれが総合指数に反映されて反発傾向が続く可能性があります。

 

そのため、今後はコアが低下する一方で、総合指数が上昇する形で、これまでと逆の動きをする可能性が高まっています。

 

CPIの結果と同時刻に発表された新規失業保険申請件数は、24万8000人ということで、予想の23万人よりも多い結果となりました。

 

これは米国の経済がやや冷え込んでいることを示唆しているので、これで市場は追加利上げはないと見込んでいる様子です。

 

しかし、不気味なのは本来であれば、利上げを行えば景気後退確率が高まって期待インフレ率も下がるはずなのですが、足元ではエネルギー価格や原材料価格が上昇し、期待インフレ率が上昇しており、金利も短期と長期、共に上昇している点です。

 

この金利上昇は米国債の格付けが下げられて、国債が売られて、金利が上昇していると世間では解説されていますが、筆者は違うと思います。

 

金利が上昇している理由は7月のFOMCでパウエル議長が「FRBスタッフは景気後退を予測せず」と述べたことで、景気回復が示唆されたことが原因だと見ています。

 

 

そして、期待インフレ率や金利の上昇には露宇戦争が継続中であるということに加えて、昨今の気候温暖化の影響がありそうです。

 

実際、今月7月は観測史上、最も暑い1か月になる見込みだとWMO(世界気象機関)などが発表しており、WMOとEUの気象情報機関は27日、今月に入って23日までの世界の平均気温は観測史上、最も高い状況だと発表しました。

 

アメリカ全土では気温が数十年ぶりに記録を更新しており、テキサス州エルパソでは27日間にわたって最高気温が37度を超え、1994年の記録を更新しています。

 

WMOはこのところの世界的な暑さに対して、アジアやヨーロッパ、それにアメリカでの熱波やカナダやギリシャの山火事にも関係していると指摘した上で、人々の健康や環境のほか経済に対しても大きな影響を与えていると警鐘を鳴らしています。

 

こうした気温変化が原因でインフレが再び進行してしまうと、政策金利を引き上げることでインフレ抑制が可能となるわけでもありません。

 

ECBのラガルド総裁は「インフレ率は引き続き低下しているが、依然として高すぎる状態が長く続くと予想される」とこれまでと同じ見方を繰り返したうえで、今後の金融政策について「断言できるのは、利下げはしないということで利上げもあり得るし、いったん利上げを止めることもありえる」と述べ、次回9月の理事会では、それまでに発表される経済データや物価の動向しだいで判断するという考えを強調、政策運営のかじ取りの難しさが浮き彫りになっています。

 

また、上述したようにパウエル議長も本来であればFOMCの記者会見でも自分の意見を述べるべきなのに、「”FRBのスタッフは”景気後退を予測せず」と述べており、自分がそれに対して同調しているわけでないことを示唆しており、こうした発言からも気の迷いが見て取れます。

 

このように気候変動によるインフレ圧力が続くのであれば、利上げの手を緩めると再びインフレが粘着性を見せることになるので、1970年代~1980年代の高インフレ時代に1%の急激な利上げを連続で行ってインフレを抑制することに成功したポール・ボルカー元FRB議長の轍を踏んで、先手を打つ形でもう1回利上げを行う可能性も否定はできません。

 

ポール・ボルカー元FRB議長は1978年から1981年まで急激な利上げを行い、インフレを完全に潰すために、最後に1984年にもう一度利上げを行いました。

 

これにより株価は上昇基調でしたが一旦少し大き目な下落調整をつけました。

今回FRBが行った0.75%の連続利上げは1回の利上げとしては通常の3倍の上げ幅となって、極めて目立つ金融引き締め行為であり、1980年代に当時のFRBのボルカー議長がインフレを封じ込めたとき以来およそ40年ぶりの金融引き締めとなります。

 

つまりは、当然ながらFRB1もポール・ボルカーをお手本として急速な利上げを行ったわけであり、これを踏まれば次の大統領選までに完全にインフレを潰すためにもう一度利上げを行う可能性は念頭に入れておくべきでしょう。

 

こうした状況を鑑みて、S&P500に関しては、トレード帝王学会員様には7月16日の配信で「$4510~4710ではショートのトライを検討する」と記載しましたが、下落しています。

 

 

 

現在はインフレよりも雇用に焦点が当たりつつあり、今後もインフレが堅調に推移するのであれば、追加利上げを行える環境となるので雇用者数や失業者数はよく見ておく必要があるでしょう。

 

このまま金利が上昇していくのであれば、株式やビットコイン,は下落するとは言わずとも上値が重い材料になりやすいです。

 

実際、実質金利は先日まで下ザヤ(サポート)が入りやすい状況でしたが、現在は再び上ザヤとなっており、上値が重い材料となっています。

 

 

ゴールドにとっても実質金利の上昇は好ましくありません。

 

ビットコインに関して前回の記事ではファンドが$30600~30700近辺で大量にロングを積んでいることから、この近辺まで戻ってくると「やれやれ売り」が入りやすいと述べた上で、以下の画像を提示しました。

 

前回のブログはこちらから

流動性の巻き戻しは引き続きビットコインにとって重石に | トシムリン投資研究所 (ameblo.jp)

 

 

その後、ビットコインは上昇したもののファンドの上の画像で記載した通りの場所でファンドの「やれやれ売り」が入り、上値が重い展開が続いています。

 

 

このようにファンドの動向がわかれば、どこがレジサポになりやすいのかも理解できるようになります。

 

とりあえずは引き続き八方塞がり継続のようにみえ、9月上旬にはETFの回答期限がくるので、その2週間前に何らかの反応がある可能性があるので注意しましょう。

 

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