こんばんは。
トシムリンです。
前回の記事では、ビットコインについて二つのシナリオを示しました。
一つ目は、日本で一般的に用いられる細かなエリオット波動のカウントです。赤の第5波が残されており、直近安値の57,850ドルを下抜けて、もう一段下落する可能性を想定していました。

二つ目は、欧米で用いられることの多い、より大まかなカウントです。この解釈では、すでに第5波まで完成しており、57,850ドルを明確に割り込まずに反転し、大底を形成する可能性が考えられました。

前回の記事はこちらから↓
私は一つ目をメインシナリオとしていましたが、当時はどちらに進んでもおかしくない判断の難しい局面でした。
そのため、相場の方向を一つに決めつけるのではなく、どちらのシナリオになっても対応できるよう、あらかじめオペレーションを組み立てておくことが何より重要だとお伝えしました。
同時に、今回の調整局面は、中長期で暗号資産を割安に仕込める最後の大きなチャンスになる可能性があるとも述べました。
その後、実際の相場は私がメインに想定していた一つ目ではなく、二つ目のシナリオに沿って反転しました。
メインシナリオとは異なる展開でしたが、重要なのは予測を一つに当てることではありません。事前に反転シナリオと、その場合に取るべき行動まで準備していたからこそ、実際の値動きに対応できたということです。
さらに、その後の動向についてはXで次のようにお伝えしました。
80,775~86,755ドルには最大規模の主要クラスターが存在しており、戻り売りや利益確定が出やすい価格帯となります。したがって、短期的には現在の上昇を慌てて追いかける局面ではありません。
その後、ビットコインはこの価格帯から反落しました。上昇トレンドへの期待だけで高値を追うのではなく、売りが出やすい価格帯を事前に把握しておく必要があった局面です。
【BTC分析:重要】
— トシムリン|本質系億トレーダー (@wd3a49) August 25, 2026
米財務省が政府一般口座(TGA)を長期国債の買い戻し原資として活用する可能性が浮上したことに加え、対イラン制裁「Economic D-Day」が発表されたことで、ゴールドとビットコインには追い風が吹いている。
政府がTGAを取り崩して民間へ資金を支払えば、
TGA減少 →… pic.twitter.com/dDyeXpmSyg
相場で必要なのは「予測」ではなく「条件付きの行動」です
いつもお伝えしている通り、相場で安定的な収益を得るためには、価格を予測するだけでは不十分です。
複数のシナリオを想定したうえで、「どの条件が成立したら、どのような行動を取るのか」を事前に決めておく必要があります。
例えば、今回のケースで、私と同じように下落継続をメインシナリオとしていたため、まだ現物を買えていなかったとします。
その場合に準備しておくべきオペレーションの一つは、画像で示した下降トレンドラインを明確に上抜けた段階で買いに転じることでした。
下落予測に固執していれば、反転の初動を見ても「もう一度下がるはずだ」と考え、結局買えないまま上昇を見送ることになります。
しかし、予測が外れた場合の買い条件まで決めていれば、感情ではなく値動きに従って判断できます。
相場で大切なのは、自分の予測を正当化することではありません。市場が示した答えに合わせて、行動を切り替えることです。
現物を買いそびれた人は、どこで買えばよいのか
現在、現物を買いそびれ、どこで買えばよいのか悩んでいる人も多いと思います。
しかし、この場合もテクニカルと市場環境を組み合わせ、事前に売買条件を決めておけば、焦って高値を追う必要はありません。
現時点では、大きく二つの買いシナリオを考えています。
一つ目は、戻り高値である82,800ドルを明確に上抜けた場合です。
より広く見れば、80,775~86,755ドルは大きな売買クラスターが集中する重要帯です。この価格帯を明確に突破できれば、ダウ理論の観点からも戻り高値を更新し、上昇トレンドへ転換した可能性が高まります。
ただし、一時的に上抜けただけで飛びつくのではなく、終値での定着や上抜け後の押し戻しを確認することが重要です。突破に失敗すれば、再び戻り売りが強まる可能性があるからです。
二つ目は、調整を待って押し目を買うシナリオです。
現在のビットコインは、実質金利やインフレの度合いを示すCRB指数に対しては大幅な下ザヤとなっており、中長期的には売られすぎを示唆しています。
一方、米ドル流動性やUSDT供給量に対しては、依然として上ザヤが残っており、短期的にはやや買われすぎの状態です。
つまり、上値は重くなりやすいものの、下値も堅くなりやすい環境だと考えられます。
この市場環境に加えて、今回の調整が2022年の値動きに近いという前提で過去のパターンを参考にすると、69,795~73,850ドルまで調整した場合は、比較的リスクとリターンの釣り合った押し目買い候補になります。
したがって、現物を買いそびれた場合は、焦って現在値を追いかけるのではなく、80,775~86,755ドルを明確に突破して上昇転換を確認してから買うか、69,795~73,850ドルまでの調整を待って買うか、この二つをメインシナリオとして考えます。
このように売買条件を事前に決めておけば、上昇を見て焦って飛びついたり、下落を見て恐怖から買えなくなったりすることを防げます。
69,795ドルを下回った場合は別の相場です
一方、69,795~73,850ドルの買い場候補を明確に下回った場合は注意が必要です。
その場合、単なる健全な押し目ではなく、57,850~57,865ドル付近の直近安値を再び試し、最終的に下抜ける可能性が高まります。
このシナリオが現実になるとすれば、通常の利益確定売りだけではなく、金融市場全体を巻き込む何らかのショックが発生している可能性があります。
米国株の急落、米ドル流動性の収縮、地政学リスク、信用不安、ステーブルコイン市場の混乱などが重なれば、ビットコインだけがテクニカル上の支持帯で止まるとは限りません。
その場合は、当初予定していた押し目買いを機械的に続けるのではなく、市場環境を改めて確認し、オペレーション自体を組み直す必要があります。
今後そのシナリオへ移行した場合には、あらためて具体的な対応を配信します。
ただし、重要なのは配信を待つことだけではありません。
「支持帯を割れたら何を見るのか」「どの条件で買いを中止するのか」「どこまでの損失なら受け入れられるのか」を、ご自身でも事前に考えておくことが大切です。
AI時代ほど「情報を知っているだけの投資家」が危険になります
これからのAI時代に本当に危険なのは、情報が不足することではありません。
誰もが同じ情報を、ほぼ同じタイミングで受け取ることです。
AIがニュース、決算、経済指標、要人発言、オンチェーンデータを瞬時に分析し、「買い」や「売り」という分かりやすい結論を大量に提供するようになれば、多くの投資家が似た判断をするようになります。
情報格差は縮小するかもしれませんが、その一方で注文は一方向に偏りやすくなります。
しかし、市場では「正しい情報を知っていること」と「その情報から利益を得られること」は同じではありません。
どれほど正しい材料でも、市場参加者の多くがすでに買った後であれば、その情報は価格に織り込まれています。
そこに残されているのは大きな上昇余地ではなく、先に買っていた投資家による利益確定売りかもしれません。
大口投資家が狙うのは、個人投資家が情報を知らない瞬間だけではありません。
むしろ、分かりやすい情報を信じた投資家が同じ方向へ殺到し、ポジションが大きく偏った瞬間です。
買いポジションが一方向に積み上がれば、その下には大量の損切り注文が並びます。その注文は、大口投資家が保有資産を売却したり、反対方向のポジションを構築したりするための流動性になります。
AIが提示した「正解」に乗ったつもりの投資家が、結果として最後の買い手や最後の売り手にされる可能性があるのです。
AIは分析を代行しても、損失の責任までは負いません
だからこそ、AI時代の投資家に必要なのは、誰よりも速く情報を集める能力だけではありません。
その情報がすでに価格へ織り込まれているのか、市場参加者のポジションがどちらへ偏っているのか、どの価格帯に損切り注文が集中しているのか、自分の想定が外れた場合にどこで撤退するのかを判断する力が必要です。
AIは優秀な分析補助になりますが、損失の責任までは引き受けてくれません。
AIの結論に従って損失が発生しても、資金を失うのは自分自身です。
むしろ、誰もがAIを使う時代ほど、「なぜこの価格で買うのか」「何を根拠に保有を続けるのか」「どの条件が崩れたら撤退するのか」を、自分の言葉で説明できない投資は危険になります。
今のうちに投資を学ぶべき理由は、AIより速く計算したり、AIより多くの情報を集めたりするためではありません。
AIが作り出すもっともらしい結論に流されず、その結論に市場参加者がどう反応し、どこにポジションの偏りが生まれるのかを考えられるようになるためです。
これから情報そのものの価値は低下していきます。
一方で、複数のシナリオを準備し、価格と需給を確認し、条件が成立したときだけ行動する能力の価値は、これまで以上に高まります。
未来を完璧に当てる必要はありません。
重要なのは、自分の予測が当たったときだけでなく、外れたときにも資金を守りながら次の機会へ移れることです。
AI時代に投資を学ぶ本当の意味は、正解を教えてもらうことではありません。
誰もが同じ正解へ殺到する市場で、最後の買い手や売り手にされないための判断力を身につけることです。






