サンプル問題にみるコーチングのクライアント像(その8)
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コーチングのクライアント像
コーチングを受けるクライアント像とは?
コーチングクラスの受講者からよく
「目標やなりたい自分が見つからない人」
はコーチングのクライアント像にならないのですか?
というご質問を受けます。
そのようなクライアントにもコーチングをすることはできますが、
本来のコーチングのクライアント像とは異なります。
本来のコーチングのクライアント像とは、以下のように解説しています。
「目標を達成したい!」という強い意欲はあるが、
① これをやれば成功するという確信が持てず、行動に踏み切れない
② いつまでたっても行動できない
③ 行動したが思うような成果が上がらない
④ 新しい発想やアイディアが浮かばない
⑤ 気持ちが落ち込み、新たな発想や行動への意欲が高まらない
このクライアント像をもう少し具体的に説明するために、
国際コーチング連盟の認定資格試験のサンプル問題を転載して解説していきます。
それではさっそく問題です。
コーチはクライアントと1年間仕事をしました。
クライアントは、質の高い仕事、同僚との良好な関係、将来のプロジェクトに向けた革新的なアイディアに基づいて、
上司によって組織の潜在的なリーダーとして認定されました。
しかし、クライアントが上級リーダーとの会議で発言することはめったになく、
発言したとしても自分のアイディアを軽視したり軽視したりすることがよくあります。
クライアントの上司は、組織内のリーダーとして成長することを最終目標として、
クライアントが経営幹部としての存在感を高めるためにコーチングを推奨しました。
コーチングの開始当初、クライアントはしばしば自己批判的でした。
しかし、クライアントはここ数カ月で大きな進歩を遂げました。
最後のセッション中に、コーチはクライアントが自信に満ちた穏やかな笑顔を浮かべていることに気づきました。
コーチが自分の観察をクライアントに共有すると、クライアントは
「今までとは違う気がして、力が湧いてきて、新しい挑戦をする準備ができていると感じます。」
と答えます。クライアントはさらに、
「そして私はちょうど CEO から、当社の新進リーダー向けのリーダーシップ開発プログラムの一員に指名されたところです!」
と付け加えました。
コーチは何をすべきでしょうか?
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素晴らしいサクセスストーリーですね。
1年間、コーチのサポートをつければ、このような成長は可能です。
このクライアントは当初、上司の勧めでコーチングを受け始めましたが、
その時点では、
「存在感のあるリーダーになりたい!」という意欲はあるが、
① これをやれば成功するという確信が持てず、行動に踏み切れない
④ 新しい発想やアイディアが浮かばない
このような状態だったのではないでしょうか。
コーチングの効果
コーチングがクライアントにもたらす6つの効果の視点からみると、
① 目標とその達成イメージが明確になる
② 毎回、自分が得た成果をコーチと話すことにより、目標達成へ向けての意識の集中を継続することができる
③ ヤリタイことを実現するために何をすべきかが毎回具体的になるため、行動が促される
④ 気になっていることや心のわだかまりをコーチに話すことで、心身のストレスが減る
⑤ コーチと約束をすることにより、怠け心を克服することができる
⑥ 感情が最大限に尊重されるので、心から受け入れられている安心感を得られる
このクライアントは勤勉そうなイメージがあるので、
② 毎回、自分が得た成果をコーチと話すことにより、目標達成へ向けての意識の集中を継続することができる
③ ヤリタイことを実現するために何をすべきかが毎回具体的になるため、行動が促される
このあたりの効果を期待して継続してきた結果、
「存在感のあるリーダー」
になれたのではないでしょうか。
プロコーチの能力水準と接し方
認定資格試験で問われるコーチの接し方として、以下4つの選択肢が与えられています。
A) 過去1年間でクライアントが自信を深めたことを認め、リーダーシップ開発プログラムへの参加をどのように祝うつもりかを共有するようクライアントに勧めます。
B) クライアントに、次に挑戦したい課題を特定してもらいます。
C) クライアントに、新しい自信を維持するために何が必要かを尋ねます。
D) 指導的な役割に昇進するという新しい目標に向けて、コーチングの取り組みを延長するようクライアントに提案します。
コーチとしての最善の行動はA)です。
国際コーチング連盟の行動規範(コア・コンピテンシー)では、
8-7.クライアントの成長と成功を祝福している
と定めています。
コーチングの本質は、クライアントの成長にあります。
成長を共有し、祝福する。
人として基本的で大切なことを堅実に実践しましょう。
ちなみに、
コーチとしての最悪の行動はD)です。
コーチはクライアントに、アドバイスや提案はしません。
ましてや、次の有償セッションの提案など、もってのほかです。
聖人君子として、最善の言動を心がけましょう。
以上、全8回にわたり、ICFのサンプル問題を通じて、
コーチングのクライアント像をご紹介してきました。
一番大切なことは、
「目標を達成したい!」という強い意欲があること。
「目標やなりたい自分が見つからない人」ではありません。
これをはき違えないように発信していきましょう。