フェリスはある朝突然に(iTunes Store) | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。


フェリスはある朝突然に(iTunes Store)

-80年代青春シネマを語ろう-


1986年作品/アメリカ/103分

監督 ジョン・ヒューズ

出演 マシュー・ブロデリック


2022年7月1日(土)の夜、宿泊先で観賞しました。


ある晴れた日、学校をズル休みすることにした彼は、仮病を使って両親を騙し、本当に病気で休んでいる金持ちの親友キャメロンの車に乗り込んで街へ繰り出す。フェリスのガールフレンドも学校から連れ出し、3人は休日を思う存分に満喫する。一方、フェリスの仮病を疑う校長は、彼の自宅を訪れるが(以上、映画.comからの引用)、という物語です。


ジェーンさんご発案の〝80年代青春シネマを語ろう〟を拝見して、6月末までの投稿期間をすぎてしまっているのですが自分自身の一作を残しておきたかったので、こちらの作品を遅ればせながら投稿させていただきました。80年代は記憶に残る作品がいろいろありますが、まだレビューしていない作品で、好きなアメリカ映画の同世代の若者たちを描いた作品から選びました。




《感想です》


  • 〝コツコツやるやつはご苦労さん!〟みたいな自分と正反対なフェリスに当時憧れました
  • フェリスの1日を描きながら、周りで自己変革を遂げていく若者たちの物語に心つかまれ
  • 現実を反映したシリアスなものより、この楽観的でポジティブ感漂う本作が私の性に合ってた


私が大学生の頃の作品です。ここで出てくる主人公のフェリス・ビューラーは高校生なのでちょっと年齢的にはズレていたのですが、日本の学生にとってはむしろこの感覚は大学生に近いものがあったように思います。舞台はシカゴの郊外で、ある晴れた平日の朝、フェリスが両親と学校の校長を騙して授業をサボり、親友のキャメロンと恋人のスローアンと三人でダウンタウンへ繰り出して1日を満喫するというお話なんです。


このベビーフェイスのフェリスくんがなかなかに憎みきれないろくでなし野郎で、もう落第寸前の欠席状況にも関わらず、あの手この手で両親や校長を騙してうまく立ち回るんですね。そこが嫌味でなくて、笑わせてくれて。これフェリスを演じたマシュー・ブロデリックと、校長を演じたジェフリー・ジョーンズ(アマデウスのヨーゼフ2世皇帝)の演技の賜物であるとも思うのですが、超おもしろくて腹抱えて笑いましたー。


これ、日本の〝無責任男シリーズ〟のノリで、〝とかくこの世は無責任、コツコツやるやつはご苦労さん!〟みたいなとこあるのですが、自分の性格とは正反対なフェリスに憧れましたねー。自分もこういう感じでうまく立ち回れて人気者になりたい!って。それで、この映画にはちゃんとそんな自分を投影できる人物が出ていて、それがフェリスの親友のキャメロン(アラン・ラック)と妹のジーニー(ジェニファー・グレイ)。


そしてこの二人が実は影の主人公。キャメロンが赤いフェラーリに象徴されている父親の抑圧から解き放たれていくところや、愛されキャラの兄のことを疎ましく思っている妹のジーニーが警察で出会ったドラッグ中毒の青年(チャーリー・シーン!)から諭され殻を破る。これフェリスの1日を描きながら、その周りで自己変革を遂げていく若者たちの物語になっていて、そこにジョン・ヒューズの視線の温かさを感じて嬉しくなります。


シカゴの名所案内映画としての趣もあり、当時は世界一の高さを誇ったウィリスビルの展望台、リグレーフィールド、シカゴ現代美術館などなど。なかでも美術館で、キャメロンがスーラの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」に描かれた少女の姿と対峙し、フェリスがシャガールのステンドグラスの前で彼女とキスするシーンは印象的です。そしてディアボーン通りのパレードで繰り広げられる〝ツイスト&シャウト〟!


なんかバブルがはじける前のまだアメリカが元気な頃の輝きみたいなところもあり、こういう感じで〝人生は短い、だから楽しまなけりゃウソだ〟みたいに単純に言いきれる最後の作品だったような気もします。高校や大学卒業という色々と人生の岐路に差し掛かる悩み多い時期を描いた作品は80年代にたくさんありましたが、現実を反映したシリアスなものより、この楽観的でポジティブ感漂う本作が私の性に合ってましたね。


アリー・シーディが可愛かった「ウォー・ゲーム(83)」のオタク少年役で注目したマシュー・ブロデリックは本作出演時は既に23歳だったとは。ジェニファー・グレイは美人じゃないけど、この後の「ダーティー・ダンシング(87)」もオススメ。そしてチョイ役のチャーリー・シーンの「プラトーン(86)」はこの直後の公開で、「ウォール街(87)」と合わせてこれも青春の負の面を描いた作品だと言えるかもしれません。


傑作とか名作とかではありませんが、いつまでも大切に記憶しておきたい映画ですね。




トシのオススメ度: 5

5 必見です!!
4 オススメです!
3 良かったです
2 アレレ? もう一つで
1 私はお薦めしません


フェリスはある朝突然に、の詳細はこちら: 映画.com


この項、終わり。