ドント・ルック・アップ(Netflix)
2021年作品/アメリカ/145分
監督 アダム・マッケイ
出演 レオナルド・ディカプリオ
2021年12月30日(木)の午後、自宅で鑑賞しました。
落ちこぼれ気味の天文学者ランドール・ミンディ教授はある日、教え子の大学院生ケイトとともに、地球に衝突する恐れがある巨大彗星の存在を発見し、世界中の人々に迫りくる危機を知らせようと躍起になる。仲間の協力も得て、オーリアン大統領とその息子で大統領補佐官のジェイソンと対面する機会を得たり、陽気な朝のテレビ番組「デイリー・リップ」に出演するなどして、熱心に危機を訴えてまわる2人。しかし人類への警告は至難の業で、空回りしてばかり。そのうちに事態は思わぬ方向へと転がっていき(以上、映画.comからの引用)、という物語です。
「マネー・ショート(16)」も「バイス(19)」も面白かったアダム・マッケイの監督最新作で、ずっと観るのを楽しみにしていました。実際の政治や経済を題材にしながら、深刻な話を風刺を効かせて〝クスッ〟と笑わせる作風が好きなのですが、こちらの新作も同様のテイストでした。いつものように豪華キャストによる群像劇で、今年最後の鑑賞作として大正解でした!
《感想です》
地球に向けて進んでくる巨大彗星を見つけた天文学者ミンディと教え子のケイトが、地球滅亡のクライシスを防ぐためにホワイトハウスの大統領のもとへ。大統領は彼らの話を信じないばかりか、大統領選を控え時期が悪いと取り合わない始末。仕方なく二人は人気ニュース番組に出演し危機を訴えるのですが、ここでもキャスターは真剣に取り合わず、事態は悪化を極めていきます。
宇宙から何かが地球へ飛来してきて最悪の事態に陥るパニック映画といいますと、「地球最後の日(51)」「メテオ(79)」「ディープ・インパクト(98)」など色々ありますよね。これらの映画の大方は、世界各国が協力して乗り切り、希望を残す終わり方をしてくれるのですが、本作は本当に救いようのない笑い話でした。ただし、これは風刺コメディなので、この味わいが大変面白かったですよ。
出てくる登場人物たち、つまり産官学(企業、政治・行政、大学・研究機関)の大物たちが、みんな自分の地位や名誉やお金のことしか考えていない欲ボケ、色ボケで、地球や人類のことなんて頭に無いという設定。でも現実の世界もそんな話に溢れていて、フィクションとして少し誇張はされていましても、これって大いにあり得る話に感じられて仕方がなく、ちょっと薄ら寒い気がしてきます。
扱っているクライシスが〝巨大彗星の接近〟という話ですが、〝COVID-19〟に置き換えて考えてみるといいんじゃないでしょうか。映画のタイトルが〝上を見るな〟ですがこれも意味深で〝足元を見ろ〟とひっくり返してみると、観客を含めた世の中に対して、自分たちが今置かれている状況、それをコントロールしている政治や経済に関心を持ってウォッチしないとだめだと訴えかけている感じ。
さすがアダム・マッケイ監督という作品でした。キャストがとても豪華なので、ぜひ公式サイト等で確認していただけたらと思いますが、みなさんこのテーマに理解を示され、プロアクティブに関わりたいという気持ちになったからじゃないのでしょうか。ちょっと太った情け無いディカプリオや、いつも切れているジェニファー・ローレンスを始めとして、どなたも役柄を楽しんでいることが分かります。
私は本作はとても大切なことを訴えていると感じました。ラストは怖くて震えました。こんなことにならないように、一人ひとりがしっかりと考えなければいけないですよね。それとエンドロールの途中と最後にオマケありです!
トシのオススメ度: 5
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