野球少女(iTunes Store) | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

野球少女(iTunes Store)

2019年作品/韓国/105分
監督 チェ・ユンテ
出演 イ・ジュヨン、イ・ジュニョク

2021年7月19日(日)の夜、自宅で観賞しました。

豪速球とボールの回転力が強みの女子高生チュ・スインは、高校卒業後はプロ野球選手の道へ進むべく練習に励んでいた。しかし女性というだけで正当な評価をされず、プロテストすら受けられない。さらに、友人や家族からも反対されてしまう。そんな折、プロ野球選手の夢に破れた新人コーチのチェ・ジンテが赴任してきたことで、彼女の運命は大きく動き出す(以上、映画.comからの引用)、という物語です。

こちら同僚のバリーからの推薦をいただいていた作品で見逃していたものをレンタルで観賞しました。久しぶりの野球映画です。野球映画にも色々とありますが、女性がピッチャーという映画だと、私にとっては海外だと「がんばれベアーズ(76)」のアマンダ(テイタム・オニール)、日本ならば何といいましても「野球狂の詩(77)」の水原勇気(木之内みどり)です。
壁に挑む姿は性別に関わらず、それだけで感動的です。


《感想です》

日本でいうところのリトルリーグでしょうか、子供の頃からずっと野球をしてきたスインは、スピードのあるボールを武器に大活躍し、新聞にも取り上げられたことがあるほどの有名人です。そんな彼女の高校卒業後の夢はプロ野球選手になること。しかし、野球部の監督や家族からも反対され、球団のプロテストを受けることも門前払いで叶わない。そこへ、新しく雇われたなんだか訳あり風のコーチ、ジンテがやってきます。

ジンテ、彼もまたプロ野球を目指した男なのですが、夢敗れて今は高校野球のコーチをして食い繋いでいるのですね。この映画は、プロ野球というジェンダーの壁があるスポーツに風穴をあけようとチャレンジしたコーチと選手の二人三脚の物語になっています。面白いのは、スインが女性リーグということではなく、あくまで男性のなかに混じって活躍することにこだわりをみせることですね。男性と同じようにできるという。

スポーツの世界において、男女の体力差が出ないものもあるのかもしれません。ただ、野球は男女差がけっこう明確にあるほうだと素人ながらに思うのですが、どうなのでしょう。スインはそこへ投げるボールの回転数と、ナックルボールという武器=変化球を持って挑むわけです。あくまでも速球にこだわるスインが、大切なのはスピードではなく、打者に打たせないことだと悟り、プロテストに臨むところは感動的でした。

それでもやはりプロの世界で女性が野球をするのには無理が。しかし彼女の熱意にほだされた球団は韓国での女性リーグの設立という大役をオファーします。ここで、簡単に〝ありがとうございます〟とならないところがよくて、最後の最後までスインはピッチャーとしてプロのマウンドに立つことにこだわり続けるのです。これはスポーツに限らなずジェンダーの壁に挑む女性たちの応援歌のようなドラマになっていました。

上から、しかも男からの〝これで妥協してくれよ〟という態度に屈しない、そこが素晴らしいです。加えて、スインを取り巻く家庭環境も見所になっていますね。スインの親の世代はまだまだ女性が男性と対等に何かをできるなんて夢のまた夢でしかなかった。スインの母親を見ていると、その世の中が少しずつ変わっていく様を感じさせもします。何でもそうですが、〝最初のひとり〟になることがいかに大変か、そういう映画でした。

ちょっと残念なのは、スインを演じたイ・ジュヨンがプロのピッチャーとして活躍できる肉体やフォームをしていないことでしょうか。実際に彼女が投げているボールに130キロというインパクトが出てないです。無理はあっても最初に彼女の出演ありきだったのもしれませんね。ナックルボールを武器にしたワンポイントリリーフなら、という感じでしょうか?でも、そこは〝映画のウソ〟として、我慢することも可能なところではありました。

ご興味がありましたら、レンタルでご覧になってみてください。




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