ソフィーの選択(DVD) | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

ソフィーの選択(DVD)


1982年作品/アメリカ/151分

監督 アラン・J・パクラ

出演 メリル・ストリープ、ケビン・クライン


2021年6月6日(日)の午後、自宅にて鑑賞しました。


第2次大戦後のニューヨークを舞台に、作家志望の青年の目を通して、アウシュビッツから生き延びたポーランド人女性ソフィーとユダヤ人の恋人の過酷な愛のドラマが綴られる(以上、映画.comからの引用)、という物語です。


「ディア・ハンター」も「フランス軍中尉の女」(「クレイマー、クレイマー」はダスティン・ホフマンの映画という印象)も良かったですが、メリル・ストリープというと、私はこの映画を一押ししたいと思います。こちらも劇場鑑賞はできておらず、若い頃に自宅でビデオで観ました。「ソフィーの選択」、彼女がいったい何を選択したのか。もう何十年前に観たきりでしたが、やっぱりその場面では嗚咽してしまいました。





《感想です》


戦後間もない1947年のニューヨークのブルックリンを舞台にしたドラマ。ポーランドからアメリカに亡命してきた女性ソフィー。彼女は今、製薬企業の研究者というユダヤ人の男性ネイサンと、ピンク色にペイントされた家の一室を借りて一緒に暮らしています。そこへ南部出身で作家志望の若いシンゴがやってきたこたから奇妙な三人の生活が始まり、しだいにシンゴはソフィーを愛するようになるのですが、という展開です。


第二次世界大戦下、ナチスドイツによるユダヤ人迫害という苛烈な状況を生き延びてきたソフィー。そして製薬企業の研究者でありナチスドイツがユダヤ人に行った残虐行為を調べているネイサン。この情緒の不安定な二人が隠している過去とは何か。一見、戦後の自由を謳歌し、面白おかしく生きているように見える二人の姿。だからこそ、その裏に隠された事実を知ったとき、二人の心の痛みの大きさに愕然とするしかありません。


おもしろくも何ともない世の中を、無理に笑っていなければ生きていくことさえできないという二人が背負っている重荷。このドラマはそんなソフィーとネイサンの姿を、シンゴの昔語りのなかに紡いでいきます。三人で過ごした懐かしく楽しかった日々。コニーアイランドへ三人で出かけ遊んだこと、ブルックリン橋の上で処女作の完成を三人で祝ったこと。美しい映像と音楽とともに、強く印象に残る場面がいくつもあります。


やがてソフィーが語りだすドイツ占領下のポーランドでの出来事。映画はそこの場面になると画調から何からが一気に変わります。ソフィーにとっては思い出したくもない過去のこと。アウシュビッツで彼女が迫られた選択とは何か。ソフィーの悲痛な叫び声。もう、まともに観ていられなかったです。そして、とてもドラマチックな話なのに、全てが終わったラストは神に許されたように安らかで、平和への祈りに満ちてもいます。


ソフィーを演じたメリル・ストリープは、ポーランド語、ドイツ語、英語の三言語を操ります。しかも彼女自身の母国語である英語はラーニング中という設定。現在と過去という二つの状況下で、同じ女性とは思えない容姿を見せ、本作でアカデミー賞主演女優賞を獲得。ケビン・クラインの弾け方や、ピーター・マクニコルの初々しさも良かったです。監督・脚本はアラン・J・パクラ。この方は政治ドラマを面白く見せますね。


綺麗だけれども、とても怖い映画。未見のかたはぜひ一度ご覧になってみてください。





トシのオススメ度: 5
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4 お薦めです!
3 良かったです
2 アレレ? もう一つでした
1 私はお薦めしません


ソフィーの選択、の詳細はこちら: 映画.com


この項、終わり。