結論は、80年代のバブルはインフレ率上昇だけでなく以下の複合要因である。
1 貨幣錯覚:まず、急速な円高進行をしたのに最初は公定歩合の高め誘導で緊縮経済化したことでデフレになった(インフレ率の低下)。ここから急に名目金利を下げたので、(インフレ率低下で実質金利はあまり下がって無かったのに)見た目の金利低下による貨幣錯覚が起き、よりリターンが高い運用先を求める投機資金が不動産や株に流れ込んだ。急に金利を下げたのは、円高不況の真っただ中、前川レポート(巨額の貿易黒字に対する批判に応えるもの)で内需を刺激するための低金利政策を米の圧力に屈する形で取らされた。
2 円高なので製造業向投資案件が伸び悩んだことで、銀行が貸出に苦慮し行き先が不動産や企業の財テク資金へと向かった。
3 直接金融から関節金融へ移行するタイミングだった。
4 郵貯のマル優廃止に伴い新たな運用先を探す資金がぞっと出た。
5 土地容積率の緩和に伴い、上屋の期待収益率が高まったことで、採算に合う不動産価格上限が上昇した。
6 前川レポートによる内需刺激のための公共事業増加も同時にあったので、官民一体で不動産の需給をタイトにさせた。
7税引き下げ:このタイミングで所得税の最高税率引き下げと物品税撤廃を行ったことから、より高額な贅沢品への投資が活発化した。同様に法人税率も引き下げられている。
加えて、ジャパンアズナンバー1などと囃されていた時代だ、日本への投資が活発化し、日本の資産に対する枯渇感も醸成されていた(2000年にはソフトウエア技術者が100万人不足する、オフィスビル需要を考えると土地が足りないと真剣に議論されていた)。
こうした複合要因でバブルは起きた。
今回の相違点を上げると
1 個人所得税の最高税率を引き上げている。
2 名目金利は上昇傾向なので貨幣錯覚は起きない。
3 銀行はバーゼルⅢなどの規制対応で貸出先でリスクを取れない。
4 既にアジアで日本の代替となる成長国が出ている中、当時と違い日本の成長への期待はないので、固定資産への投資過熱は起きにくい。
もちろん、個人向け国債の償還が近づいていることと長きに亘るデフレ時代に過剰に積み上げられた銀行預金が株にある程度は向かうだろうが、不動産や贅沢品が暴騰するようなバブルにはインフレターゲットを設定した位ではならないと考える。