[原文]文学への大望を確認すべく、61歳の時に書いた「我が人生の起承転結」です。

 

ただ、今から思うと、人生のラストステージが近くなり、いきなり出現したかのように見える私の迷いの種は、実はもう、この時点で蒔かれていたのです。学生にとって、進路の決定はとても大切なものだと思います。自分の迷妄から逃れるため、私はサラリーマンになった時点から、人生の大きな課題を一時的に封印してしまったのです。

もっとも、人生に柔軟性は必要です。サラリーマン生活が始まれば、仕事に全力を注ぐことを悪いとは言えないはずです。仕事に夢中になっていたことを、反省したくはありません。ただ、結果として私は、頭のてっぺんから爪先までサラリーマン色に染まってしまいました。

六十一年を超える私の人生において、人間として未完成だった幼児から学生までの時代を除いて、人生のすべての時間を、私はサラリーマンとして過ごしてきたのです。もちろん、現在においても、私が人間として未完成であることに変わりはありませんが。

喜怒哀楽はストレートに出てしまいますし、隠し事も苦手です。単純でわかりやすい性格は変わることがありません。これでは、顔の皺が深くなっただけで、精神面では、いつまで経っても子供のままであることになってしまいます。

 

[感想]原文を書いて7年。一向に形を成さない文学への大望を再確認しています。

 

文学を志しながら、文学の道とは異なるサラリーマンになったことについて、私は後悔しないように生きてきました。それが単なる言い訳なのか、それとも真実であるかについては、これから生まれるはずの、私の文学が答えてくれるに違いないと思っています。