私のゴルフの腕前が、絶望的に上達しなかった原因分析は、

見事なまでに完璧にできています。それは、考える必要がない

くらいに単純なことです。誰からどのように指摘されようとも、一

に、練習不足の一言に尽きるのですから。

 実際は、練習不足と言うことさえ少々おこがましいと言わねば

なりません。事実は、初めてゴルフクラブを振った日を加えても、

練習した日を数えると、延べ二週間を超えることはないでしょう。


 (コースに出るのが、僕の練習。)


 今思い起こすと、何と不遜なことを考えていたのでしょう。でも

実は、この想いは単なる自分への言い訳に過ぎませんでした。

ただ、冗談として話したことはありますが。


 基本的には、私は負けず嫌いの性格です。それは、惨憺たる

成績ばかりだったゴルフも、決して例外ではありませんでした。

悔しい気持ちを忘れたわけではありません。

 けれども、仕事のためだとの意識が、この気持ちを曖昧にした

のです。仕事の仲間たちと一緒にゴルフのお付き合いをすること

は、私にはコミュニケーションツールに過ぎなかったのです。


 私がゴルフの練習をしなかったのは、仕事の上での交際手段

となるゴルフに対して、時間とお金の投資を惜しんだからです。

それは、私の仕事への想いの中に、本質的な蹉跌があったこと

に淵源があるように思います。

 つまり、文学を天職だと信じてきた私にとっては、サラリーマン

仕事は本業ではないとの想いが、大きな足枷になっていたの

です。これは、私の、仕事への甘さに繋がっていると思います。

もちろん、私は真摯に仕事に取り組んできたつもりですが。

 もっとも、これはあくまでも自己評価ですから、客観性はありま

せん。けれども、仕事で手を抜くようなことはなかったというのが、

今でも私の矜持になっていることは事実です。

 

 ただ、ゴルフでは手を抜いていました。向上心を形にすることは

なかったのです。ここには私の、サラリーマンとしての、致命的な

欠陥が潜んでいるのです。