植物が動いて話もするのですから、動物と植物との区別は

今よりも難しかったのです。けれども、両者は栄養の摂り方

に大きな違いがありました。

 土から栄養分を吸収している植物に対し、動物は食べ物を

摂取します。光合成をするしないという違いもあります。です

から、それぞれの仲間意識が強くて、動物と植物は、いつも

対立していました。


 両者が対立することは、仕方のないことでした。動物には、

肉食するものと草食するものがおり、植物を摂取しなければ、

種の維持ができなかったのです。植物が動物に抵抗するの

は、当然のことだったのです。

 実は、植物も、動物の死骸を栄養として摂取していました。

ですから、一つの生態系として考えると、本当は動物と植物

は、互いに助け合っていたのです。けれども、敵愾心が芽生

えた植物たちには、そこまで考える余裕はありませんでした。

[ご参考] 生態系の Wikipedia です。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E6%85%8B%E7%B3%BB


 物語は、動物と植物の対立が、ピークになったときから始ま

ります。とうとう、動物との最終戦争を決意するための、植物

の代表者会議が行われたのです。


 「森から動物を追い出そう!」

 「もう、全面戦争をするしかない!」

 「そうだ。我々が団結すれば動物など恐れることはない!」

 「真ん中に弱い草木を集めて守ろう!」

 「周りを大木や針葉樹で固めよう!」


 若くて勢いのある木々が口々に叫びます。実や種を、動物に

食べられてまった植物や、仲間を失った植物たちは、特に、

いきり立っていました。もう、犠牲者を出したくなかったのです。

 感情を露わにする植物たちの期待を背負って、代表者たちは、

もう覚悟を決めていました。植物が動物を拒めば、食べる物の

なくなった動物を滅ぼすことができます。こうして、多くの植物

たちが、動物のいない植物王国を夢見ていたのです。