最近、雹が降っているとのニュースを聞くことが多くなった

ように思います。やはり今でも、雹が降るのは珍しいことな

のでしょうか?

 確かに、私が澄んでいるところでは、毎年、雹が降るわけ

ではありません。ただニュースのニュアンスでは、温暖化や

異常気象などの象徴として扱われているようにも思えます。



 私が、初めて雹を見たのは小学一年生の時でした。体育

の時間だったか休憩時間だったか忘れましたが、いきなり

氷の塊が降ってきたのです。

同級生たちは、もう、天からの贈り物に大騒ぎです。思い

思いに、怖がるやら面白がるやら。子供たちが、同じ現象に

異なる反応をしたことは、それだけで興味深いことです。



 教室に戻ってからも皆の興奮は納まらず、授業にならない

ままずっと騒いでいました。そこで、静かにさせることを諦め

た先生は、皆に尋ねたのです。



 「今、降ってきたのが何か知っていますか?」

 「ゆき」、「あめ」、「あられ」。

 

 皆、一生懸命、手を挙げて答えます。普段は、手を挙げる

積極的でない私も「あられ」と叫んでいました。ちょっと、

先生に褒めてほしいと思ったのです。自分なりには、自信の

ある答えでした。



 「うーん。誰もわかりませんか?そうね。初めてだものね。

はい。これは雹(ひょう)というものです。」



 私には、初めて聞く言葉でした。きっと家に帰って、母にも

訊ねたと思うのです。けれども、母が知っていたかどうか、

私には、ちょっと記憶がないのです。