確かに、妬み心を克服して、憎しみや差別に陥るという
危険に近づかないことは、とても賢明なことです。けれども、
これを繰り返していると、せっかく訪れたエネルギーを得る
チャンスを、みすみす逃してしまうことにもなります。
もし、妬みの心を自在にコントロールできるのなら、その
力を利用することは、決して悪いことではありません。この
エネルギー源を活かすことは、生きる上で大きな力になる
と思います。
これまでは、心が歪むことを懼れて、妬み心を消してしま
うことばかりを考えてきました。けれども、妬み心から遠ざ
かるのではなく、利用する図式を考えることも、一つの克服
のかたちだと思うのです。
そこで最後に、妬み心を活用するために自らコントロール
する方法を考えたいと思います。この心を正しくコントロール
することができるなら、妬み心には、自分の向上に役立つ
ものが潜んでいると言えるはずです。
よく考えてみると、妬み心をコントロールするのは、実は、
それほど難しくないと思っています。とにかく劣等感を他人
の所為にしなければいいのです。
妬み心を活用するつもりなら、このことは、無理にも思い
込まなければなりません。それができるかどうかが、自分
の中の妬み心を利用できるかどうかの試金石なのです。
劣等感を他人の所為とせず自分の問題として考えれば、
決して、他人を貶める発想が生まれることはありません。
自分を向上させるためのエネルギーとして使うしかないの
です。この図式に隙はありません。
このように考えた私は、勝手に妬み心は自分の向上に
つながると信じてきました。ただ、冷静に自分の姿を見て
みると、期待しているほどの向上をしているとは、とても
思えない状態です。これが、この図式の弱いところです。