「背中を見せる」時は先に自分を知る | 坪井秀樹の起業実験日記 いくつになっても「理由なき反抗期」

坪井秀樹の起業実験日記 いくつになっても「理由なき反抗期」

反抗しているんじゃない。反抗期が続いているだけなのさ。

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下記、極めて私見です。




経営組織や集団に対し、大切だと思っていることや、任意の風土を落とし込

みたい時に、トップやリーダー自らが「背中を見せる」というのがあります。



「背中を見せる」こと自体、私は大切なことだとは思います。



ただし、「背中を見せる」ことによって、他人に何らかの行動行為を


させようと意図して始めた場合は、大抵はそれば実現しません。



目的が、誰かにさせる為であって、当の本人が「好き」で、勝手にやっていることじゃ


ない場合、肝心の当の本人が継続しません。



継続というのはどれくらいかと言うと、ずっとずっと、死ぬまで、自然に、勝手に、


気付いたら、無意識にやっている状態です。



経営トップは、それなりに勉強していますから、成功者の成功法則なども知識と


しては持っています。


何をやったら良いかは知ってはいます。


しかし、知っていることと、実際にできることは別物です。



一定期間であったり研修中であれば、自分に目標設定して期間限定でやれば


何とかできます。



本来は、「気づいたらクセになっているまでやれ。」と言うのは正しいとは思いますが、


私個人の経験則としては、クセにはなかなかなりませんでした。


その時は、「あぁ、確かにいいなぁ・・・・」と思っていたことでも、既に止めていることが


ほとんどです。


(やった意味としては確実にあるとは思っていますが・・・・・。)



逆に、誰からも指示も命令もされずに、勝手にずっとやり続けていることは、


昔も今も気づいたら勝手にやっています。



「背中を見せる」と言うのは、本人が常日頃から、実際に勝手にやっていることの


方が、結果として感化されたり共感されたりして、相手が勝手にやり始めている


ことの方が本当なのだと思います。


また、その方が効果としては高く、特に風土や文化レベルに至ってはなおさらです。



部下やメンバーは、リーダーの言葉ではなく、実際の行動を見てその人を判断


しています。



例えば、掃除であるとか、大きな声で挨拶とか、常に笑顔とか、この手のことは


どの業種業態であってもできていた方がいいに決まっています。



「よし、これを根付かせよう。」と一定期間に気合を入れて意識してやったとしても、


意識せねばやらない以上、無意識の時はやらないということです。



意識できる人はいいんでしょうが、私は「ねばならないこと」でクセにもなっていないことを


24時間意識できるほど暇でもないし、器用でもありません。


だから、自分でないことは結局やらなくなります。


だから根付きません。



次に、無意識のうちにやっていることがあるとしましょう。


例えば、手描きPOPがあるとします。



やっている姿を見て、感化されてやり出す人はいるけど、やっぱりやらない人は


やりません。


どんなに口酸っぱく言ったところで、やらない人は、その時ちょちょっとやるだけで


すぐやらなくなります。


「やれ。」と言う以上は、自分がやっていることくらいしか「背中を見せる」ことなど


できません。そもそも誰かに「やれ。」と命令口調で言う時は不意にやってくるものです。



私は、組織やチームに何かを根付かせようと思ったら、そこからがスタートではないかと


思っています。


そこからスタートして、長年かけて、ついていけない人は抜けて、共鳴する人は残り、


そういうのを繰り返しながら、結果として、風土や文化というものは何となく出来上がって


いくものだと思っています。



例えば、


「掃除をすれば、心が磨かれる」というのは私も経験上頭では理解しています。


しかし、それを言っている人が、気が付くといつもいつも掃除をしているかと言うと、


そういう人は見たことはありません。その人の姿のそういう印象がないのです。



例えば、


「常に笑顔」と言っている人が、それを言っている時に怒っていたり、仏頂面していたり


すると、この人ギャグかましてるのか?と思ってしまいます。


「常に」って、24時間笑ってろってことでしょ?


そんな奴いたら、逆にアブない奴だと思ってしまうのです。


(ちなみに私は、「笑顔」というは、相手の顔を思い出した時に、素敵な笑顔が


一番最初に記憶として思い浮かぶかどうかで判断しています。)



「お客様を喜ばせよう。」「楽しい会社にしよう。」と、そりゃ誰でも言うでしょう。


でも実際に人を喜ばせたことありますか?人を楽しませたことありますか?


具体的にそれはどんな時でしたか?と聞くと答えられない人の方が多いのです。


あげく、他人ではなく自分が喜んだとか、自分が楽しんだことを言われてしまうと、


何が何だか分からない(苦笑)。




こういう場合、根付かせたい何かは、100%根付きません。


具体的な映像として、「こういうことである」と見せてあげなければ、相手が


理解どころか、形からでもマネしようがないのです。



そもそも、社会に出た時点で声の小さい人は、声は大きくなりません。無理です。


注意された時だけはやりますが、その後は戻っています。


 

そもそも笑顔のない人に、いつも笑っていろというのは、その人にとっては苦痛以上


になるでしょう。無理です。


 

そういう人がダメだと言っているのではありません。無理なのです。

 


それは採用時点の問題です。



経営理念や社是・社訓を見直す時があるとしたら、こういう引っかかりが出た時でしょうね。



時々、「だから目指しているんだ。目指しているのだからできていないことで当たり前だ。」と


面白いことを言う人がいますが、そうなると、私は「目指す」というのは一体どういう状態なのか、


これがもっと分かりません。



できてなくてもいいなら、今できなくていいのに、できていないとすると、こっぴどく指摘したりと、


もう訳が分からないのです。




さらに言うと、こういう事と言うのは、往々にして短期の直接の生産性としては関係がありません。


掃除であったり、笑顔であったり、挨拶だったり、というのは、根付いている風土ですから、


ちょっとやそっとトップやリーダーが背中を見せたところですぐには変わらないのです。



頭が痛いことに、こういう活動を、業績が落ちてきた時に、全社あげてやろうとすることです。


長期の重要対策と、短期の優先・即効性は全くの別物です。


業績が落ちた時に、トップ・リーダーが営業時間中に頑張って


長期目的のために「背中を見せる」人が現れたり、


会社の部門として成立させてしまったりすると、もう悲惨な状態になります。



こういう人や、この部門があるとしたら、その行為そのものには生産性はありませんから、


顧客と直接接して利益を出している現場がカバーしなければならないコストは、


上がり続ける一方です。


当然、業績はもっと悪くなります。




長期に渡って、本当にやりたいことは、その人が仕事時間以外でもやっていることです。


自分の利害とは関係のない時間や場所でもやっていることそのものです。



店舗が好きな人は、会議が終わってから用がなくても店舗に行って遊んでいます。


掃除が好きな人は、どんなに疲れていても勝手に掃除をしてから帰ります。


ディスプレイが好きな人は、徹夜してでもいつも何かやっています。


POPを描きたい人は、帰ってからあれやこれや考えてはシコシコ描いているのです。


部下とのコミュニケーションが好きな人は、仕事時間以外でも部下と一緒に何か


動いています。



利益を得る為にやっているのではなく、結果としてそれが役立ったり評価されたら


嬉しいというスタンスでいます。


だからやり続けます。勝手にやり続けます。



その姿に共鳴したり、感化されたり、憧れを持ったりした人が、勝手に自分でやり出します。


「背中を見せる」というのは、私はこういうことだと思っています。



私が、トップ・リーダーは「好き」なことをやった方がいい、と自信を持って言う所以の一つは


ここなのです。


「好き」と言うのは、頭で考えている事や、言葉で言っていることではなくて、


第三者が認識している実際の行動そのものです。


本人が心の中で、辛い・苦しいと仮に思っていることがあったとしても、ずっとやり続けている


ことを他人は、「その人の好き」と認識します。



「好き」なことは、サルの何とか(苦笑)みたいに、勝手にやり続けるし、意識などしなくても、


相手がその姿を認識しますから。



もし、何かを組織や部下に根付かせたいと思っているなら、その対象は、果たして


自分が日頃から無意識に行動していることかどうかを、よくよく考えてみてからスタート


させることをおススメします。



その方が、無理なく、嘘なく、ストレスなく、説得力を持って相手に伝わり、結果、


実現するスピードは速くなります。


そんなこといちいち意識しなくても、お客様のことを考えたり、持っている技術を磨いたり、


本来の営業活動や生産性に直結することに専念できます。



私は、トップ・リーダーが「背中を見せる」と言うのは、そういうことだと思っています。


「背中を見せる」というのは、結局は「本当の自分を知る」ということに他なりません。


私の今のところの結論です。



          言葉よりも行動行為で人は認識する。


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