以前の同僚が、一年半前に退社して、自分で開業した店に
はじめてお邪魔してきました。
前職中は、私も忙しすぎて、とても行ける余裕などはありませんでしたが、
それ以上に、その場所が分からなかったというのがあります。
この時期にしか行けないと思って、「行こう」と思うはいいのですが、
ネットやFBで検索しても、私の知っている情報は、彼の苗字だけで、
店の名前すら分からないので、場所すら検索できません。
そして、その過程の中で、分かったのですが、彼の店が、あまりに情報を
出していないことにも気づきました。
(相変わらずマイペースで商売っ気のない奴だなぁ・・・・。)
そんなことを思いながら・・・・・。
人づてに場所を聞いて、地図を頼りに、昨日やっと行けた次第です。
そして、さらにその過程の中で気づくのですが、行ったことのある連中の、その店の
評判は、誰もすこぶる良いのです。
本人には行くと伝えずに、店の前に立ちました。
そのお店は、閑静な場所にひっそりと隠れ家のようにありました。
大きな看板や目印もなく、でも、とても印象的で分かりやすい雰囲気です。
彼の店だと、すぐ分かりました。
店の奥に、彼の姿が見えました。
顔を出した時、彼は、少し驚いたような顔はしましたが、
以前から、決して感情を外に出すタイプではなく、
突然かつ、久しぶりの私の顔にも、それまど同じようなリアクションで迎えてくれました。
ただし、以前に比べて、顔つきと、顔色がすこぶる良くなっていたことは
すぐに分かりました。
店舗の形態は、彼の大好きな古書(古本)と、飲食の複合です。
奥様と二人だけでやっていて、坪数も大きくなく、席数も少なく、こじんまりとは
していますが・・・・・・・・・・、
そこには、彼らしい彼しかできないであろう、席と什器のレイアウトや、彼がセレクトした
商品達が陳列されていて、彼ならではのセンスの良い空間がありました。
私がどんなにマネしようと思っても、それはできません。
要するに、私のドンズバの世界ではないわけです。
しかし、少し驚いたのは、私の嗜好と違うに関わらず、そこはとても居心地の良い空間で
あるということでした。
光や音も、空間に自然に溶け込むように計算されています。
案の定、私は画像に収めたくなりました。一応許可を取ってみたところ、
「実は、あまり大々的に情報を出す気はないので・・・・、あんまり、おおっぴろげには
ちょっと・・・・・・・・・。でも・・・・、坪井さんの写メとかブログなら大丈夫ですけど・・・・。」
その反応も彼らしいと言えば、彼らしいのですが、私は少し意外でした。
言ってみれば、彼は、今これ一本で生計を立てているのです。
名物のカレーと、アイスコーヒーを頂いてきました。
奥様の手づくりの温かみが伝わってきます。
評判通りの、おいしさで、そして静かでゆっくりした贅沢な時間を頂けました。
彼とは、久しぶりに、ゆっくり話をしました。
色んな話をする中で、私はいくつかの疑問を聞きました。
「君らしいのは十分分かるが、せっかく独立までして創り上げた、この空間や料理の
価値を、なぜ情報としてもっとちゃんと出さないのか?」
少し考えて、彼は言いました。
「一年半やってきて、お陰様で、少しづつお客様が来て下さっています。
いろんな方がみえますが、やはり私の感覚に近い方々のように思います。
近くの人というより、少し離れたところから車でわざわざ来てくれる方が多いです。
見ての通り、私の感覚に妻のセンスを合わせて丁度バランス良くやっていて、
お陰様で、こんなに楽しんでていいんですか?というくらい楽しくやらせて頂い
ています。
取材の依頼や、飲食サイトからのお誘いも頂くのですが・・・・・、
きっと出せばワッと人が集まるのは何となく予想がつくんですけど、
そうなるとガチャガチャになって、今までウチの事を気に入ってくれて
わざわざ来て下さっているお客様にとって、居心地が悪くなるのも
目に見えています。
この空間を提供している以上、そこまではしたくないと言うのが
正直な気持ちです。今の大事なお客様とずっと長く続いていきたいんです。
もちろん前職で勉強させて頂いた通り、ビジネスですから、バランスを
取ながら進んでいかないといけないんですけどね・・・・・。」
彼とは、前職で何度となくミーティングをしてきた間柄です。
しかし、これほどまでに、自分の意思や想いを明確に、迷いなく聞けたのは
初めてでした。
その言葉は、店構えから、商品セレクトから空間、彼が取っている行動行為や、
発信している情報量、奥様と二人でやっている事、すべてに一貫していると感じました。
彼の立っている今のステージのビジネスとして、正しく合っています。
前職が企業化していく過程の中、彼が、葛藤しながら働いていた当時の姿が蘇り、
本当に嬉しい気持ちがこみ上げました。
良かったね、立派だ、と思いました。
私は、前職中に、彼にずっと教えていたと思っていたことを、時を隔てて、
彼から教えてもらったような気がします。
「商売っ気」のなさそうな彼の発言は、そこにこそ、本当の「商売っ気」が隠されている
のを感じたのでした。
何を隠そう、あの居心地の良い空間を気に入った私は、恐らく今後、入りびたる
だろうと予測させてしまったのですから・・・・・・・。
彼は、私という一人を見事にファンにし、次への動機づけを果たしたのです。
私は、よって、彼の名前も、店の名前も、ここで大きく出すことをやめました。
十分に共感し、私もそうであって欲しいと願ったからです。
無論、現実は厳しく、そうとも言っていられない時は来るかも知れません。
その時は、いくらでも協力するつもりです。
企業の成功とは何か、人生の成功とは何か、社会の豊かさとは何で、
個人の豊かさ・幸せとは何か・・・・・・・・・・。
居心地の良い贅沢な空間は、そんなことを考える時間をプレゼントしてくれました。
彼のビジネスは、『「品売」ではなく、「商売」である』と予感させるものでした。
以前書いた「品売と商売は違う」の記事
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
http://ameblo.jp/tosboi/entry-11420499052.html
エクスペリエンス・マーケティング藤村先生にもご紹介頂きました。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
http://ameblo.jp/ex-ma11091520sukotto/entry-11418731899.html
しかし・・・・・・・、最後に彼は、たった一つ、大きな誤算をしていました。
最後に一緒に写メを撮りながら聞きました。
「一緒の画像は、ブログに出してもいいか?」
「えぇ、坪井さんのブログだったら大丈夫です。だって坪井さんのブログなら、まだ
限られた人しか見てないですよね?
わぁ!久しぶりに坪井さんの決め顔ですねぇ・・・・。」
甘いぜ、お前(笑)。
オレのブログは、もう結構多くの人に見てもらってるんだぜ(笑)。
今のところは、ランキングも1位なんだから(笑)。
ひょっとしたら、君の店はてんてこ舞いに忙しくなるかもしれないよ(笑)。
なめんじゃねーぞ(笑)。そういうところまで相変わらずだよな・・・・・(笑)。
また行くからね。
素敵な奥様によろしく伝えてくださいね。
応援しています。心から。
君の人生の成功を祈っています。
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