ふと足元に目をやると力尽きそうな1頭のベニシジミ。
今年は夏が長く続いたうえに、台風の接近によって、秋の木々の移ろいは諦めていました。
仕事に明け暮れる毎日に半ば四季すら忘れかけ、指先に当たる風の冷たさで、ふと晩秋を感じました。
そう言えば、いつの間にか私の仕事場(山野)ではヘビやトカゲの姿を見かけなくなり、
紅葉を追いかけるハイカー達で溢れています。
私は紅葉より黄葉が好きです。 (広島県北部にて)
錦繍の名も無き沢に心奪われて、仕事はそっちのけで沢を遡りながらシャッターを切る。
里に降りて、雲伯路・阿井越道の旧宿場町『市場』集落を抜けて、八国見山の見える場所まで・・・
ピラミッドではありません。
その山容の美しさ故に、信仰の山、神の住まう山として知られる『八国見山(やくにみやま)』です。
山頂にはタカオカミノカミ (すみません、漢字変換NGでした)が祀られておりました。
和銅年間(708~714)には、山頂に延喜式内社である多加意加美神社が創建されたと
伝えられていますので、かなり古くから信仰の対象となっていた様です。
タカオカミノカミはご存知の様に、貴船神社の御祭神として知られる水の神様。
雨乞いのために山頂に祀ったのでしょうか?
八国見大明神として信仰され、麓の宮内 市場集落には『夛加意加美本宮神社』があり、
また向泉集落には『多加意加美神社』が現在も残ります。
名前の由来は、山頂からぐるり見渡すと八つの国が見えるということから名付けられた山で、
『芸藩通志』に、「宮内村にあり、備芸雲石、及び四国路を見る故にかく名づく」と記述があり、
八か国はともかくとして、多くの国が山頂より見渡せたことでしょう。
未だ山頂に立つ機会を得ていませんが、そのうち出かけて見たいものです。
行く秋を惜しむオヤジに冬の気配が忍び寄ってきたある日のことでした。