少し前のお話・・・
所用にて、蜻蛉返りで京都へ行って来ました。
『京の都にゃあ、金色の蝉が居ったでぇ!』
『蜻蛉返りしたんなら、蝉じゃ無うて蜻蛉じゃないんか? で、何処に居ったんや?』
『門跡さんのねきに居ったんよ!』
『ほぉ、そりゃ何でや?』
『門跡さんを護っとるんじゃと!』
『なんとまぁ偉い蝉じゃのぉ!』
『ありゃりゃあ、ほんまじゃあ! 蔀戸の金具に金色の蝉が居らぁ!』
『蝉言うのはのぉ、地上に出てから死ぬるまで何も食わんげなけぇ、清浄な生き物なんじゃと!』
『そりゃあ、止事無い人の居ってのとこじゃけぇ、きしゃのぉちゃあいけんよのぉ!』
『ほいでもう一つはのぉ、蝉言うのは良う鳴こうがぁ? 讒言やら何やら、周りから要らん事
言うもんが居るけん、蝉の鳴き声でそれが止事無い人の耳に入らんようにするためなんじゃと!』
『ほぉ、上手い事考えたもんよのぉ! さすがは都のもんじゃのぉ!』
『季節外れの金色の蝉・・・ えぇもん見してもろうたわいや!』