今回の一時帰国ではこれまでの自分では考えられない行動に出ることがあった。

 

基本的に自分は他人のことには関与しない人間で、例えひと様が困っていて助けたいなと思っても行動に移せない軟弱な性格なのだ。

 

ところがどういう風の吹き回しなのかおせっかいジジーに転身してしまったのである。

 

まずはバンコクから日本へのフライトで、隣に座った10代と思しき若いタイ人女性が離陸直前になってもスマホでチャットしていたので、ジェスチャーでよくないことを伝え、彼女も素直に受け入れた。

 

ところが後になって考えてみると、もしかしたら機内モードだった?

機内モードは使ったことがないのでどこまで通信できるのかは分からないが、直前のCAさんのチェックもスルーしていたので問題なかったのかもしれない。

 

ガラパゴスジジーに怒りの鉄拳をお見舞いしなかったことに感謝したい。

 

羽田空港に到着して東京駅までどうやって行こうかと京急線改札まで足をのばしてみた。普通ならモノレール&JRが分かりやすいのだが、朝のラッシュアワーに巻き込まれるのがいやだったのだ。

 

路線図を眺めていると、券売機の前で東南アジア人らしき親子連れが何やら困惑していた。会話は聞き取れなかったが、途中で発した意味のない声(日本語なら「あー」とか「おー」みたいな感じ)を聞いて彼らはおそらくタイ人だろうと確信した。

 

その親子が切符を買うのをあきらめ引き返そうとしたところ、タイ語で「どこへ行きますか。」と声をかけた。

すると彼らは驚いたような顔つきで「上野へ行きます。」と答えてきた。

路線図で上野の位置を示し切符の買い方を教えた。京急線とJRは路線が違うのでそれ専用のボタンを押さねばならないのだが、外国人観光客(日本のおのぼりさんも)にとっては難しいだろう。

後は品川駅でうまく乗り継ぎ用の改札を通過できるかだが、これは神に祈るのみ。

 

そして故郷に帰る新幹線のホームに並んでいると、その次の列車用のラインに並ぶおばちゃんがいたので、

 

そこはこの次の列車の位置ですよー。

 

とアドバイスすると、

 

わかってます。

 

とネイティブ日本語で切り返し。

実は中国人が割り込みのためそこにいたんだと勘違いしたんだね。

 

その反動は次の日の運転免許センターへ行くバス乗り場であった。

寒く雨が降りしきるバス停に出発直前に到着した自分は、並んでいる列が全く確認できず乗車が一段落を迎えたころを見計らって乗り込もうとしたところ、

 

みんな並んでいるんですよー。

 

との声が聞こえた。よく見ると待ち行列は次から次へとやってきて、結局最後の人が乗り込むのを見届けた後に乗った。

毎日利用している人にとってはどのような待ち行列になっているかはわかっていても、そうでない人にはさっぱりなのだ。

 

そばで見ていた女子高生軍団の視線の冷たいこと。

 

そしてパンデミック条約反対デモに参加するため東池袋中央公園でたむろしていた時、次から次へと集まってくる参加者が低地では収容しきれず少し高台に集まり始めた。

 

自分は写真の一番手前に腰かけていたのだが、次々来る年配の方がこの石段を登って奥のエリアに行かざるを得なくなった。

 

東池袋中央公園

 

さてこの段差、50センチくらいはあるのだろうか。

 

若い人にとっては何のことはないこの段差。

足腰の衰えたジジババにとっては至難のわざなのだ。

 

自分も最終的にはこの上に上がったのだが両手両足を駆使しよじ登った感覚に近い。

 

そして次々に上がってくるジジババにこれはやばそうだなと思う人を常に注視していた。この段差を軽々登れる人にはこの段差が登れない人の苦難は分からないのである。

 

実際手を差し伸べたのは数人。

段差を登るのに苦労している方の手を取って引っ張り上げたこと、上ったはいいけどフラフラして転落してしまいかねない人の袖をつかんで安定させたことなどがあるが、まあ多少はひと様の役に立ったのであろうか。

 

 

このようにだんだんおせっかいジジーに転身しつつあることを内心喜びつつあるのだが、無知ゆえの押し付けには気をつけたいと思う。