自分はマスコミの海外情報はほとんど読まないのだが(特に雑誌系)、それでもタイに関する情報は気になるのか目を通すことが多い。
するとここ数日でタイ人の日本人下げや、在タイ日本人高齢者の惨状を嘆く記事に出会った。
最初は髙田胤臣(たかだ たねおみ)氏の本の一部紹介として文春が取り上げていた。
もう詳細は忘れてしまったが、ザックリいうとタイ人は以前より日本人をリスペクトしなくなったというものである。
理由の一つとして韓流のドラマや歌が席巻し日本は見る影もないなどを上げているが、果たしてそうだろうか。
確かにK-POPの流行はすさまじいものがあるし、生徒たちもダンスやら何やらをまねる人も多い。旅行先や出稼ぎ先として韓国は人気があることも事実だ。
だからと言って日本のエンタメが衰えたわけではない。実際AKB48の姉妹部隊BNK48の人気もあるようだし、そもそも日系ののビッグイベントは年2回開催しているが、韓国系のそれは聞いたことがない。
自分は長年日本語学習者と接してきたからか、日本や日本人をディスるのはあまり経験したことがない。
もともとタイ人は日本へのあこがれよりもヨーロッパへのあこがれが強い。これは歴史的にイギリスやフランスなどの影響を強く受けていたせいである。日本人の欧米信仰と同じなのだ。
黒い肌を嫌い白い肌を好み、黒い肌におしろいをべっとり塗ったなんて化粧もよく見られた(最近は見かけなくなった)。
それに昔から一貫して親日だったわけではなく、大戦中や日本の高度成長期には抗日運動も起きている。自国にとってメリットがあれば親しみがわき、デメリットと感じれば敵意を抱くなんてどこの国にもあること。
著者の高田氏はどういうタイ人と交流があるのだろうか気になるところでもある。よくタイはあーだこーだと批評する人がいるが、どういうタイ人とコミュニケーションをとっているかで大きく変わるのだ。
高田氏はバンコクの民間ボランティア救急隊に所属したりして結構ディープなタイ社会を経験している人で、昔はフリーペーパーによく寄稿していた。
ただ日本のマスコミへの寄稿記事では必ずしも同意できない物もある。
高田氏がどのような本を出版しようがそれは彼の自由であるが、その一部を取り上げてさも日本はタイからも見放された国であると貶める文春は一体何なのであろうか。(てめえで取材してから書けよな)
次はタイで年金暮らしをする高齢者をディスった記事で、今度は新潮だ。
途中まで読んでいてなんかおかしいなあと思っていたら、最後に下川裕治(しもかわ・ゆうじ)氏の名前が。
下川氏は旅行作家としてバックパッカーには絶大なる支持を受けているようなのだが、バックパッカーとは無縁な自分は一歩引いた状態でいつも読んでいる。彼もまたバンコクのフリーペーパーによく寄稿している。
彼は確かにディープな情報を持っているのだが、時折高飛車な態度をとることがあって、あまりいい印象は持っていない。
さて記事の中で79歳のロングステイヤーを取り上げているのだが、円安と物価高で年金だけでは暮らせないと嘆いている。
見出しが象徴的で
1日2食に「ここまで落ちたか」
(あの~ 自分は1日に1.5食なんですけど~)
別に節約しているわけでもなく活動していない自分には1日3食なんか食べれば即重度糖尿病入り間違いなし。それに特に腹なんて空かないし。
それに記事の内容にツッコミどころ満載。
金がないから「なんちゃって寿司」に行くようになった。金額はビール付きで500バーツから800バーツ。
スシローで500バーツも食べれば結構おなかに溜まるんですけど。ビール飲んでも(ビールないけど)800バーツでおつりが来まっせ。
ナイトマーケットなどの屋台寿司でウナギとサケだけ12貫をテイクアウトして550バーツ。
別にウナギを食うなとは言わないが、金欠をうたう年金暮らしにしては高すぎないか。
全てが円安と物価高のせいだとあおるこの記事。おそらく下川氏とロングステイヤーの合作記事だと思われるが、これを取り上げる新潮の低俗さ。
まあこれで下川氏への評価は一段と下がりましたな。