Ⅲ注射剤

・皮膚内または皮膚もしくは粘膜を通して体内に直接注入して適用する無菌製剤で、医薬品を溶液、懸濁液、乳濁液としたもの、および用時溶剤に溶解もしくは懸濁して用いるものがある。

・注射剤の容器として、アンプル、バイアル、プラスチック容器などがある。

滅菌とは、物質中のすべての微生物を殺滅または除去することで、滅菌するものの性質等に合わせて滅菌法が選択される。

・滅菌法には最終滅菌法である加熱法、照射法およびガス法と、これらが適用できない液状製品を孔径0.22μm以下のメンブランフィルター等でろ過して微生物を除去するろ過法がある。

・無菌操作とは、ろ過滅菌を行ったのち、または原料段階から一連の無菌工程によって無菌医薬品を製造するための方法である。


(利点)

・効果発現が速く、確実である。

・内服では消化管内で分解される医薬品でも効果を得ることができる。

・内服では肝臓で代謝されて無効化される医薬品でも効果を得ることができる。

(欠点)

・患者に苦痛を与える。

・誤った使用法や不適切な製剤では、重大な事故を引き起こす可能性がある。


投与方法としては、

皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、点滴静注などがある。

・経口・経腸的な栄養摂取が不可能な患者には、輸液療法の一種である高カロリー輸液療法(TPN)が適用される。

・TPNでは、鎖骨下静脈から上大静脈に挿入したカテーテルを通して輸液を投与するため、血管の壊死を起こさずに25%もの濃厚なブドウ糖を含む輸液を注入でき、生体に必要なカロリーや栄養素を中心静脈から供給できる。

・TPNにはブドウ糖のほか、アミノ酸、ビタミン、電解質、微量元素などが配合される。脂肪乳剤もカロリー源として用いられるが、通常はTPNには混合せず、単独で末梢静脈から点滴静注される。

・注射の溶剤には水性溶剤(注射用水、生理食塩水など)と、非水性溶剤(主に植物油)があり、配合する薬品の溶解性や安定性を考慮して選択される。非水性溶剤として、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの有機溶剤が用いられることもある。


1.溶液性注射剤

水性または非水性の溶剤に医薬品を溶解し、不溶性異物や細菌をろ過により除去し、滅菌して製した注射剤である。

2.懸濁性注射剤

水性または非水性の溶剤に、微細な固形の医薬品を懸濁して製した注射剤である。ろ過や加熱滅菌ができないので無菌操作法によって調製する。血管内、脊髄腔内には使用しない。

3.乳濁性注射剤

水性の溶剤に、微細な液状の医薬品を乳化して製した注射剤である。無菌操作法によって調製する。脊髄腔内には使用しない。栄養補給に用いるダイズ油を乳化した脂肪乳剤などがある。

4.固形注射剤

固形の医薬品を、溶剤で使用時に溶解または懸濁して用いる注射剤である。無菌の粉末状医薬品を充填する場合と、真空凍結乾燥して固形化する場合とがある。

溶解または懸濁状態での安定性が確保できない医薬品に用いられる。


じっくりやっていきます。