こんにちは、とーるです。


今回は、おそらく誰も教えてくれない、というか単に誰も気がついていないか理解できていないホルスタードロウのやり方についての話題です。

スティールプレート系のスピードシューティング競技でタイムを縮める基本はホルスタードロウにあります。その事は以前の記事でもお話したかと思います。

以前ご紹介したやり方を基本として、ホルスタードロウのスピードを早めるためにひたすら練習したり更に効率の良い様々なやり方も考えてきましたが、最近ちょっと限界を感じていたところです。


【何がいけなかった?】
ハンズアップの姿勢から 可能な限り素早く銃に手をかけるところまでは練習でなんとかなりましたが…

いざ銃を抜いて、次に銃をターゲットに向ける!するとなぜかその照準がうまく定まらないのです。すぐに照準が合う時もあれば、うまく合わない時もあり、なぜか再現性が無いのです。

【何がいけなかった?】
以前のホルスタードロウの方法は、私が武術からヒントを得て作り上げた手順です。

しかし、このやり方には大きな誤算があったことに、本日まで私は気がつきませんでした。
【手順を分割してはいけない】
以前に考案したホルスタードロウの方法は以下の通りでした。
1、ハンズアップの姿勢から最速で銃に手をかける
2、銃をゆったりターゲットに向けて照準する

実はこの手順の分割がタイムを縮めるうえでの弊害となっていました。もちろん完全な初心者が1から手順を覚えるには適しているのですが、今の私のようにタイムを縮める事を考える段階にまで来ると、手順を分割するやり方はかなりまずいのです。

それは、手順と手順の間に誤差が少しでも生じると全てが崩れてしまう事によります。

例えば、銃を握る→ターゲットに向ける。この手順がいつも完璧に寸分違わず同じようにできれば問題はありません。しかし、人間そんなことはなかなかできません。必ず小さな誤差が生じるものです。可能な限り素早くやろうと思えば尚更です。
 
すると、手順1で生じた誤差は全て手順2が被る事になるのですが、なにぶん手順2はいつも同じ方法を前提にして練習していますから、誤差はそのまま最後の最後、照準の段階まで修正されず、誤差として残るわけです。

だから照準がすんなり合う時と合わない時があったんですね。

【ブルースリーに学ぶ】

最近、ブルースリーの動画を見まくっていたのですが、やはり武術に精通する彼の理論はとても参考になります。

「考えるな感じろ」の名言で有名なブルースリーですが、これはホルスタードロウの本質をも表していると思います。

【一連の流れとして止めずに行う】
手順を分割するのではなく、

「ハンズアップから銃を握ってターゲットに向けて撃つ」

その際、人間の関節の構造を考慮して、円を描くような最も自然な動きで行うのが理想です。

実はとうの昔に手順を分けて考えながら練習する段階は終わっていたわけなんですね。今は無心でそれらを一連の動きとして実行すれば良いわけです。

手順を分けるとどうしてもカクカクした動きになってしまいますが、それぞれの手順を一連の流れに統合し、その中で緩急をつけるやり方に変更しただけで面白いように照準が合うようになりました。

スピードの緩急に関しては、いままでは
1、素早く
2、ゆっくり

と、100から一度に10まで落として、一定速度で行っていたものを「車がブレーキをかけてゆっくり停車するように速度を落とす」やり方に変えます。これにより、どの段階で誤差が生じても緩急の速度変化の割合を調整するだけで誤差を修正できます。

ただし、これは手順1と2をしっかりできるようになってから、タイムを縮めるという段階に達して初めてわかる事です。


【究極にかみ砕いて説明】
従来:
①速く②ゆっくり

ブルースリー式:
速い動きからゆっくりな動きに滑らかに変えていく

こんな感じでしょうか。何度も言いますが、人間の体の構造を考えると、カクカクした動きよりも滑らかな円運動が最も効率的なわけです。

【円運動のイメージは汽車ポッポ?】
円運動と言っても具体的にどうやるのかイメージできないかもしれません。

そんなときは蒸気機関車を想像して見てください。子供の頃に「シュシュポッポ」と、蒸気機関車の車輪を回すアームの動きを両手で真似した経験は無いでしょうか。汽車ポッポダンスです。


まさにあの時の腕の動きをイメージしてください。滑らかな円運動となっているはずです。その動きをホルスタードロウに落とし込むだけです。


【最後に】

今回かなり漠然としたお話だったかもしれませんが、まずは分割された手順という基本をマスターする事が重要です。基本無くして応用はありません。


基本の無い状態での「考えるな感じろ」はただの当てずっぽうであり、基本の無い応用はただの根なし草に過ぎないのです。


武術だろうと幼稚なダンスだろうと、世の中の事象を突き詰めれば何でも参考になるものです。


極端な話をすると、スピードシューティングでタイムを縮めるためには必ずしも参考にする物が銃のレクチャーである必要はありません。


自分が求める物を理解して、世の中のありとあらゆる物を参考にして自分の物にしていく事が重要だと思います。