こんにちは、とーるです。今回はとても面白い話を用意して来ましたよ。


【本格的に早撃ちを】
先日、PPSというシューティング競技に出ました。スティール系の早撃ち競技では初めての公式記録会参加ということで、いろいろな課題が見つかって特訓中の次第です。

今日皆様にお話したいのは、「ホルスタードロウ」についてです。


少し古い動画ですが、リボルバーのトップシューター、矢田選手の競技射撃の様子です。

とても綺麗で素早いホルスタードロウです。スピードがあるのに丁寧で優雅な雰囲気すら感じます。

【避けられない超重要な要素】
さて、私が挑戦したPPSのステージ1では、ホルスタードロウのスピードが結果に直結します。

ステージ1に限らずですが、スタートから初弾までの速さによってステージタイムの最低値が決まるホルスタードロウはスピードシューティングにおいて最も重要な要素と言っても過言ではありません。

どれだけターゲットに当てるのが上手でも、ホルスタードロウのスピードが遅ければ損をしてしまいます。

【現状の課題】
PPS競技で私が今の実力でトータル50秒台を切るためにはあと3秒を縮める必要があります。実はこれってホルスタードロウのスピードをあと0.17秒ほど速くするだけで充分達成可能なタイムなんですね。
PPS参加以来、日夜特訓を重ねておるのですが、ここに来てようやく1つの突破口を見いだしました。

両手を挙げたハンズアップ姿勢から手を振り下ろして銃に手をかけるまでの時間、ここにタイムを削る大きなポイントが隠されているのではないかと。

【ホルスタードロウの正体】
ホルスタードロウに関しては、マック堺というトップシューターがレクチャー動画を投稿しておられます。


銃口管理など、安全面や所作についての基本は既に習得済みという前提でお話をします。

ホルスタードロウは大きく分けて2つのプロセスに分かれます。

①ハンズアップ姿勢から手を振り下ろして銃に手をかけるまでの時間
②銃を握ってからターゲットに向けて照準に入るまでの時間

この動画からもわかりますが、基本的にどのシューターもそうですが②の時間が①より速い人はいません。

銃に手をかけるまでの時間①が非常に素早く短い一方、握ってから照準に入るまでの時間②はあくまで比較するとですが、案外ゆったりしているのです。

もちろん握りが常に同じになるよう正確に行う必要はありますが、ハンズアップ姿勢から手を降ろすという①の行為そのものは、極端に言えば早撃ちにおいて最も無駄な時間と言えるでしょう。

【素早く振り下ろし、ゆったり狙う】
今はひたすらひたすら素早く手を振り下ろして銃を握り、その後はゆったりターゲットに向けて狙う、このメリハリを繰り返し練習しております。やりすぎて腱鞘炎になりそうです。一心不乱に続けているうちになんとなくコツがわかってきたような感じがして、次の記録会が楽しみでなりません。
JTGSさんのオーダーメイドホルスターの高い性能にも助けられています。


【余談】
武術とスピードシューティングは同じ。

 私の友人に武術好きな人がいて、呼吸の使い方だとか筋肉の使い方だとかを日頃聞いていたせいか、一瞬で銃を抜いた直後にゆったり狙う効率的なホルスタードロウ練習の動きが、武術と全く同じものだと気がつきました。

一例として、ナイフディスアーム(ナイフディザームとも言う?)という武装解除の技術があるのですが、下の達人の動画を見てください。

完全にトップシューターのホルスタードロウがこれと同じ特徴を持った動きであることに気がつきますでしょうか。ナイフをはたき落とす瞬間は一瞬ですが、その後の反撃までは異常にゆったりとしています。

ナイフをはたき落とすための凄まじい力を一瞬で出し切り、その後瞬時に力を抜いて相手を制圧する柔らかい動きに切り替える。

このメリハリの概念こそ、今回私が気がついたホルスタードロウの動きの理論そのものでしょう。

下半身を使って反動を和らげ、極力頭を動かさずに相手を狙っている事もポイントです。

極端な話、このナイフディスアームと同じスピード感をホルスタードロウに再現できれば、トップシューター並みとまではいかなくとも、レースホルスターを使う中級者くらいのスピードにノーマルホルスターを使用している素人でも太刀打ちする事ができると考えています。


【近道はプロの話を聞く事】
また、この考えにたどり着くヒントになったシューティングレンジのスタッフさんから聞いた話も紹介します。ちなみにそのスタッフさんは、ジャパンスティールチャレンジの部門優勝経験もある実力者です。

【ポイントスタートとのタイム差】
その方によると、「ポイントスタート」最初から銃を握り2メートル先の地面を狙った状態でスタートするスタンバイポジションのほうが、「ハンズアップ」よりも早いタイムが出やすいとの事です。
ポイントスタートの概要:ATPF公式より

そりゃ、よくよく考えたら銃を握って引き抜く動作があるのと無いのとでは、動きが追加されている分タイム差が出るのは当たり前ですが。いやまて、それってすなわち銃を握るまでの時間が無駄な時間って結論になりますよね。

通常はスタンバイポジションの違いによっても部門が分けられているので、ポイントスタートとハンズアップのタイムが比較される事はありません。しかし、よく考えたら当然かも知れませんがそのタイム差には、いかに銃を握るまでのプロセスを短く済ませる事が大切か、最もタイムを縮めやすい要素であるというヒントが隠されていたんですね。


【実銃も参考に】
最後に、伝説のシューター・イチローナガタ(永田市郎)氏によるホルスタードロウ解説を紹介して終わりにしたいと思います。

この動画では、私が最初に言った①②のプロセスを更に細分化して解説されています。

特にお手本にしたいのが、左手をおヘソにチョップです。特に外部ソースのホースがついて邪魔になりやすい競技用エアガンには是非活用したいコツだと思います。素早く握ったあとは、左手をうまく使ってサイトを正確にターゲットまで導く必要があるのです。

しかしなにより練習でも本番でも、安全というのは常に目指しておかなければなりません。速く、しかし安全に行う。基本中の基本ですね。

基本を笑う者はかえって基本を知らず。私はいつもそのように考えております。

今回は以上になります。ブログを始めて以来最も有意義な記事になったんじゃないかと思うような発見でした。