こんにちは、とーるです。


今回は予告通りクラウンモデル・M19ガスリボルバー箱出し製品のご紹介です。


【外観】

 お値段約9,000円という破格の安さ!
しかしながら、なかなかに良い外観です。真鍮製のカートリッジは空薬莢のような形をしており、排莢がとても楽しい製品となっています。

【シリンダーまわり】
シリンダーには真鍮製のパイプが付いており、これが見た目としてはちょっとマイナスポイントでしょうか。これはカートリッジのガタつきを抑える役割を持っているようで、一定の精度が期待できます。

【珍しい構造】
同社の主力商品?である10才以上用エアリボルバーや他社のリボルバータイプのエアガンのシリンダーは実銃で言うところのカウンターボアードといって、カートリッジの後端リム部分が飛び出ないタイプです。しかし、こちらクラウンモデルのガスリボルバーは仕様上このようにリムが後ろに飛び出る、カウンターボアードでは無いタイプになっています。
というのもクラウンモデルのガスリボルバーは、発射の直前には画像のようにカートリッジのリムが押されてインサートパイプが前進し、これがバレル側に存在するフォーシングコーンと呼ばれるパーツに密着する事でガス圧のロスを防ぐ機構を持っているためです。

カートリッジはインサートパイプのバネの力で常に押されて飛び出ており、カウンターボアードっぽい見た目とはならないわけです。

実銃にもカウンターボアードでは無いタイプのリボルバーが普通に存在しますので、このあたりは全然リアリティに影響を与える要素では無く、むしろ他社のガスリボルバーでは不可能な味わいですから、それらと決定的な差別化が楽しめるマニアックな要素なのではないかとすら思います。

実銃の世界では近年のリボルバーは安全性が向上しカウンターボアードを廃止する傾向があるとも言われているようです。ハンマーのファイアリングピンがオミットされている構造など、実はこれらの特徴を最先端な機種と考えて楽しむこともできます。

ちなみに今は絶版ですが、東京マルイの24連発ガスリボルバーなんかはこれに似たような構造を持っていましたね。あれも目的こそ違いますがリムが飛び出るタイプでした。

【カートリッジ】
クラウンモデルのリボルバーはすべてBB弾をリム側から装填する後込めカートリッジになります。この方式は昔のマルシン等では見られた構造ですが、今やクラウンモデルくらいしか採用しない貴重な方式です。

後込めカートリッジは発射ガスを可能な限りタンク近くで受ける事ができるため圧力損失が生じにくく初速を上げることができるのが大きな利点です。一方、バレルからは遠くなるため命中精度は安定しにくくなります。

【初速計測】
初速は0.2g弾で70m/sでした、ガスリボルバーとしてはなかなかの初速です。先述の圧力損失が起きにくい構造をしているため他社の同じ初速を持つ製品と比較して燃費は良くなる傾向にあります。

【スピードローダーご注意!】
スピードローダーは注意が必要です。クラウンモデルの純正スピードローダーはエアリボルバーのプラスチックカートリッジで使用する事を前提とした設計です。そのため真鍮カートリッジではサイズが微妙に異なり使用できなくなります。
ガスリボルバーのM19でスピードローダーを使用する場合、357マグナム専用のスピードローダーを購入してはいけません。
アップで見るとわかりやすいですね。カートリッジが広がってしまうため綺麗にカートリッジを挿入することが困難です。
一方、44マグナム用のスピードローダーならば比較的スムーズに入れる事ができます。ただしインサートパイプの存在からある程度の使いにくさは生じてきますが、慣れれば問題は無くスピードローダーが有るのと無いのとではリロードの効率は雲泥の差です。

【射撃試験】
5メートル射撃試験の結果です。
18発でグルーピングは17センチ、すべてダブルアクションで撃っています。実銃とは異なり命中精度が低くなりがちなリボルバーのエアガン、しかも命中精度が悪化しやすい後込めカートリッジだと考えたらなかなかの物でしょう。

【やえやまカスタムと比較】

比較として、サバゲーやスピードシューティング用に同社のM586をベースに改造したガスリボルバーとグルーピングを比較します。こちら作成者の私自身のハンドルネームを取って「やえやまカスタム」と勝手に呼んでいますが最新版はホップ搭載でサバゲーに使いやすくなっている自信作です。

命中精度はシューティングマッチ用に作ったノンホップバレルに比べると少し落ちるかなという感じなので、今回の比較には丁度良い相手なのではないかと思います。

左:箱出しM19→17センチ
右:カスタムM586→9.5センチ

なるべく条件を合わせるため後込めのオーセンティックカートを使用してみましたが、さすがエアリボルバーにガスユニットを移植してバレルまで弄っている大がかりなカスタムを施した機種と比べてしまったら勝負になりませんでした。

しかしながら、箱出しは1万円を切るお値段というお手軽さを考慮すると、やはり充分な性能 と言って良いのではないかと。

このように、クラウンモデルのガスリボルバーはカスタムによって飛躍的に性能を上げるポテンシャルを持っています。

【突然の故障】
200発ほど?撃った頃でしょうか、なんと弾が急に飛ばなくなりました…

原因はガスルートのビニールパイプの破損です。

何度も速射して生ガスが吹くようになって急激に冷やされて割れてしまったようです。

クラウンモデルのM19やM586はガスルートが脆い作りをしており、こうなる事がよくあります。生ガスがたくさん吹いているのにあまり無理して連射すると故障のリスクが高まりますので注意が必要です。

同社のパイソンやM29は壊れにくい構造なのですが、M19とM586だけはなぜかこのガスルートが壊れやすくなっているのがネックです…

【予告】
次回はサイドプレートを取り外して分解修理します。二度とガスルートが破損しないようにするカスタムです。

複雑な内部構造を正確に組み上げるための解説もちょこっとやります。

それではお楽しみに!